1作目は出世を選ぶか、大変だけれど患者のそばで医療行為ができる職場を選ぶかというストーリーでしたが、今作では結果的に出世よりも現場を選んだ主人公の一止(いちと)と、彼の同期でエリートコースに進んだ進藤辰也のストーリーを中心に描いています。そして今回は医者と患者というよりは、医者とその家族に焦点を当てていて、夫婦の生き方や価値観もテーマになっています。患者さんの命と自分の家族を天秤にかけるなんて到底無理な話なのですが、選びようがない状況のなかで奮闘する医師たちとその妻がどう乗り越えるのかを観ていると、何らかのヒントが隠されています。うまくこなすコツというよりは、やっぱり考え方次第なんですね。忙しい旦那様を持ち、あまり家族で過ごす時間が無く寂しい思いをしている女子の皆さんは、宮浮おいが演じる妻、榛名の言葉や、市毛良枝が演じる貫田内科部長の妻のセリフにご注目を。 そして今作でも、生と死は隣り合わせで、医療行為は病気を治すことだけではないという深い部分を描いている点に共感しました。お医者さんの過酷な労働状況も垣間見える作品なのでいたたまれない気持ちになりますが、社会問題と定義しつつ堅くならずに理解しやすい描写なのがうまいなと思いました。お医者さんでなくても過労の現場で働く方々やその家族はこの作品を観てご自身を客観視してみて、少しでも生活を良い方向に変えていくきっかけにしてもらえたらと思います。 |
とても心温まる内容の作品ですが、医療現場のお話なのでやや重く感じる部分も描いています。生と死がテーマなので軽い気持ちで観られる内容ではなく、「今日は映画を観るぞ!」という気持ちの日に観て欲しいです。今作では夫婦についても主なテーマになっているので、将来結婚を考えているカップルやご夫婦で観るのもオススメ。辛いときこそ相手の存在が大きいということを再認識できるでしょう。そして、毎日忙し過ぎてなかなか一緒に過ごせないカップルやご夫婦は特に観て欲しいです。お互いの気持ちをもう少し理解できるようになると思うし、問題を放置せずに何かできることはないか、どうすればもう少しより良い生活にできるかを話し合うきっかけにしてもらえればと思います。鑑賞後はお互いに優しくなれると思いますよ。 |
キッズには少し難しい部分もあるかも知れませんが、ぜひ観て考えて欲しいと思う内容がたくさん含まれています。ティーンも同じです。おうちの人が忙しくてなかなか一緒にいられずに寂しい思いをしている人は特に家族みんなで観てみると良いでしょう。家族のために働いているお父さんやお母さんの思いを少しわかるようになると思うし、これを機に自分の思いもぶつけてみても良いかも知れません。大人の事情を理解して我慢してしまう人は余計に普段しんどい思いをしていると思いますが、正直に寂しいという気持ちを伝えるだけでも少し楽になることもあると思いますよ。 |
関連記事:
■『神様のカルテ』(1作目)
■TJE Selection イイ男セレクション/佐藤二朗
©2014「神様のカルテ2」製作委員会 ©2010 夏川草介/小学館
2014.3.18 TEXT by Myson