2018年9月7日全国公開
東宝
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設定的には、和製女性版“フェイス・オフ”で、それを両人が意図的にやっているというところがまず興味深い点。観る前は「本当の美しさとは?」というテーマで描かれているのかと思いましたが、観てみると、美しさに執着するのに反比例して醜くなっていく姿を描いた物語という印象のほうが強く、反面教師的に観て楽しめました。結局どう生きれば良いかという明確な答えをくれるわけではありませんが、どう生きたいかと考えさせられる内容。誰かを利用する、誰かになりすます、誰かの人生を乗っ取る人生は、一度手を染めたら抜け出せないし、奪ったつもりが逆に奪われていたり、自分をなくしてしまったりということになる。これは極端な比喩だとして、周囲の価値観に振り回されて生きる人生を送っている状況にも当てはまるのではと思うと、誰が観ても身近なストーリーとも言えるのではないでしょうか。 前半のドロドロだけだと軽い内容になっていたかも知れませんが、それは序の口で、後半の展開の恐ろしさに見応えがあり、土屋太鳳、芳根京子の演技も見ものです。 |
女性の美しさへの執着心の怖さが描かれているので、デートで観ると男性はゾッとするかも知れません。同性同士で観るほうが、「女子って、こういうところあるよね」と鑑賞後の会話も弾みそうだし、素直に受け入れられるように思います。とはいえ、一見仲良くしているけど、実はバリバリのライバル心をお互いに持っている女性同士は一緒に観ないほうが良いかも知れません。本当に仲の良い友達と観ましょう(苦笑)。 |
物語としてはとてもドラマチックなので、飽きずに観られると思いますが、ちょっとショッキングな内容でもあるので、小学校高学年以上向け、もしくは中学生以上向けかなと思います。ティーンは、特に容姿を気にするお年頃ですが、本作を観ると違った考え方を持つきっかけになるかも知れません。何が幸せで、何が不幸なのか、考えながら観て欲しいと思います。 |
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2018.8.29 TEXT by Myson