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華氏119

2018年11月2日より全国公開
ギャガ
公式サイト

目を疑うような恐ろしい事態がアメリカで起こっていることを知り、すごく驚きました。一握りの富裕層が政治を動かし、民主主義が機能していない背景に、貧困と人種差別などの問題が、これほど大きく絡んでいるとは、思った以上に問題の根は深いです。まさにいろいろなことが悪循環を起こしていて、人々の生活力や生命力を奪って、専制政治に持っていこうとする様子も本当にゾッとしました。ドナルド・トランプ大統領誕生前から、非人道的な政治が既に行われている州があり、それがトランプ大統領の誕生でアメリカ全土に及んでしまった今の状況がいかに最悪かが理解できました。でも一方で、まだ投票権を持たない子ども達が政治に影響を与える運動で成果を出している姿や、他にも諦めずに地道に戦う国民達の姿も映されていて、他人任せにしないで行動することの意義もヒシヒシと伝わってきます。「誰かがどうにかしてくれるだろう」「自分が動いたくらいで何も変わらない」と思うのではなく、一人ひとりの力がいかに大切かを訴えかける内容になっていて、それは善に働く例だけでなく、たった1人の力が悪に働く例も合わせて取り上げている点でも理解しやすい内容になっています。
政治色が強い作品ではありますが、ユーモアも交えて、誰にでも理解しやすく、とっつきやすい構成にしているのは、さすがマイケル・ムーア監督。この映画でどこまでムーブメントを起こせるか、まさに映画というもののパワーも試されると言えて、映画のヒットだけでなく、米中間選挙にどう影響を与えるのかも気になります。

おぞましい内容が盛りだくさんで、ロマンチックな雰囲気は一切ありませんが、見応えがすごくあります。感想を語りあうことでお互いの価値観も見えると思うので、デートで観るのもアリでしょう。初デートでは避けたほうが良さそうですが、これまで何度か映画デートをしたことがあるカップルなら、たまにはこういうドキュメンタリーを観るのも良いのではないでしょうか。

キッズにはまだ難しい内容かも知れませんが、小学校高学年以上で興味がある人ならぜひ観て欲しいです。政治的話題はまだ身近に感じられないかも知れませんが、そうは言ってられないと思える現状がたくさん映し出されています。アメリカのお話ではありますが、どこの国にも共通して起こりえる内容なので、若いうちに政治に興味を持つきっかけになると思います。政治的視点で観ないとしても、一人ひとりの力が大きいということも実感できて、良い刺激も得られるでしょう。