本作は実在した詩人の柴田トヨの半生とその家族について描いた物語です。トヨの幼少時代を芦田愛菜、30〜40代の頃を檀れい、50代〜90代は八千草薫がそれぞれ演じていて、主として描かれているのは90代のトヨです。柴田トヨが詩を始めたのは90歳を過ぎてからだそうで、映画のなかでも柴田トヨが実際に書いた詩がたくさん登場していました。それぞれの時代のトヨの様子が回想シーンとして登場するので、詩と当時の様子がリンクし余計に心に染みました。 唯一気になってしまったのが武田鉄矢が演じたキャラクターで、ときには少々気持ち悪く見えてしまうこともありました。武田鉄矢はトヨの息子役を演じていて、特に母親の前で駄々をこねる姿は本当にすご過ぎて、たいていの女子はきっと引いてしまうこと間違いなしです!でも観る側にそう思わせるくらいの演技をした武田鉄矢はやっぱりすごいなと思いました。それに対し伊藤蘭が演じたその妻は、本当に素晴らしい女性でダメな夫でも愛想をつかすことなく、さらにはお姑さんの面倒までしっかり見ていて理想の女性像だなと思いました。 監督は『ガール』や『神様のカルテ』なども作ってきた深川栄洋で、今回はちょっと渋い作品のように思えるかも知れませんが、ぜひそう言わずにまず観てみてください。きっと皆さんの人生観に何かしら刺激を与えてくれると思います。 |
デートで観ても大丈夫です。結婚して15年以上経っている夫婦であれば、武田鉄矢と伊藤蘭が演じる夫婦に共感できるものがありそうです。ただ武田鉄矢の役柄がかなりギャンブル好きの男性なので、実際に旦那様や彼氏がギャンブラーだと彼は肩身が狭いかも知れません(笑)。でもそういう方には良い薬になりそうです。若い世代のカップルでも渋い作品と思い込まずに観に行ってみてください。意外と共感できたり感動できるところがあるはずですよ。 |
芦田愛菜が出演していますが、さすがに小学生のキッズには90歳のおばあちゃんの気持ちに共感するのは難しいかも知れません。中学生以上のティーンは自分たちの周りにいるおじいちゃんおばあちゃんの大切さを感じることができると思います。おじいちゃんおばあちゃん孝行という意味で一緒に観るのも良いでしょう。詩についても良い勉強になるので、柴田トヨがどういう情景を観てどういう詩を書いたのかにも注目して感性を磨きましょう。 |
関連記事:
■深川栄洋監督インタビュー
■大ヒット祈願イベント、八千草薫、由紀さおり(主題歌担当)
©2013「くじけないで」製作委員会
2013.10.23 TEXT by Shamy