2013年4月19日より全国公開
ギャガ
公式サイト 予告編
名優ダスティン・ホフマンが、75歳にして初めて監督に挑んだ本作。かつてスターだった音楽家たちが引退して入る老人ホームが舞台になっているのですが、まず歌や演奏のシーンが本格的で驚きました。それもそのはず、ホフマン監督の希望で、実際のアーティストやミュージシャンたちを起用していました。エンドロールでメインキャスト含め、彼らの若き頃の写真と経歴が出ますので、ぜひ最後まで観て下さい。マギー・スミスの若き頃の写真があまりに綺麗で驚きましたが、今でも綺麗ですもんね。年をとってもあんな素敵な女性になれたらいいなと思いました。 ストーリーはというと、おじいちゃん、おばあちゃんが主役とはいえ、ほぼラブストーリーです。オペラ歌手として野心に燃えていた女性と、彼女の裏切りで心を閉ざして生きてきた男性が長年の隔たりを経て再会します。過去の過ちに囚われすぎて日々を過ごしてきた2人は、今回は正面からぶつかりあうことで問題から逃げずに前に進みます。もちろん初めは2人とも頑固ですが2人の変化を観ていると、年齢を重ねても人は自分次第でまだまだ成長できるし、生き方を選べるんだなと希望が持てます。そして、マギー・スミスが演じるジーンが、引退したとは言えスターとして強いプライドを示すシーンはかっこいいなと思いました。いくつになっても情熱や闘争心は大事ですね。穏やかに過ごしたいという思いも出てくるのかも知れませんが、やっぱり何かに熱くなったり、負けないぞという気持ちを燃やすことはいつまでも続けたいなと改めて思いました。 ダスティン・ホフマンが来日会見でも話していましたが、75歳という年齢で初監督に挑んだ思いはこの映画のなかにたくさん詰まっています。誰しもピークを過ぎて他人から勝手に限界を決めつけられる現実がやってくるけれど、それは他人が決める事じゃない、自分で決めることなんだというメッセージが込められています。人生の大先輩たちが大切なことを教えてくれる本作は、若い人こそ観ないといけないですね。 |
いくつになっても恋を忘れていない人生の大先輩たちの物語。チャーミングでユーモアのあるラブストーリーとしても楽しめますので、ぜひデートで観て下さい。若いカップルこそ、この映画のジーンとレジーのケースは勉強になるでしょう。いくつになってもやり直しは利くという希望を感じさせてくれると同時に、誰もがいつの間にか年を取ってしまうという現実も教えてくれるストーリーなので、年齢に関係なく今を大事にしようと2人で感じて、一緒にいる時間を有意義に過ごせるようになれると素敵ですね。 |
キッズやティーンにとってはまだまだ想像もつかない時限のお話ですが、子どもだからこそハートで感じるものがあるかも知れません。ティーンは実感は湧かないまでも、この物語の大事なテーマは感じられると思うので、1日1日を大事に生きなさいというメッセージを先人たちから受け取ってくれると良いですね。良質な音楽に包まれた作品なので、気軽に普段あまり触れることの少ないクラシックやオペラなどの文化に触れるのに良い機会かも知れません。 |
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■来日記者会見 ダスティン・ホフマン監督
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2013.4.9 TEXT by Myson