TOP > 映画批評TOP > 映画批評サ行 > HERE

人生はノー・リターン～僕とオカン、涙の3000マイル～

DVD未公開『人生はノー・リターン～僕とオカン、涙の3000マイル～』バーブラ・ストライサンド／セス・ローゲン 2013年6月7日リリース
レンタル同時（左記ジャケットはセル用です／4,179円税込）

人生はノー・リターン ~僕とオカン、涙の3000マイル~ [DVD]

てっきりマザコンの話なのかと思いきや、いつまでも自分を溺愛する母を少しうざいと思っている息子が、母を厄介払いするための旅に出るという物語。厄介払いといっても陰湿な感じではなく、少し自分への感心を背けたいという程度で、なんだかんだいって仲の良い親子の姿は微笑ましいし、息子の愛がありながらも反抗的な態度を取ってしまうシーンや、母にしかとれない強い態度を示すシーンには共感します。母か息子かどちらかの目線で鑑賞するかは人それぞれだと思いますが、例え自分が実際にまだ母でない人でも女性ならば母になったら自分もこうなっちゃうのかな…というシミュレーションも楽しめると思います。そして、これは親子の話でもあるけれど、母の子離れの話でもあり、母としての生き方に専念してきたジョイスがふと見せる女性の一面はとても綺麗です。ジョイスを演じるバーブラ・ストラサンドは1942年生まれなのでもう70歳を超えているのですが、とてもそんな風には見えず、衣装や髪型を変えてきりっとしたときは、母ではなく“1人の女性”に見事に変身します。女性としてどう生きるのかということも考えさせられるストーリーで、女性にとって見どころがたくさんある作品です。主演のバーブラ・ストライサンドとセス・ローゲンの相性もピッタリで、コミカル、シリアス、ドラマチックなシーンでの感情変化の表現がとてもリアルです。
「お母さんに会いたくなる」「自分がお母さんになっても女としての人生も楽しまなきゃ」という思いにさせてくれる作品です。女子必見ですよ！

大人になった息子と母のお話ではありますが、親子の愛情を描いたコメディ・ドラマなので、ぜひ親子で観て欲しいです。特にティーンになると、お母さんの優しい態度もうっとおしいという反応をされるようになりますが、子どもの心情を客観視するのにも参考になりますし、自分の母としてのやり過ぎな面も冷静に思い返すきっかけになると思います。親子で一緒に観ても、それぞれの存在の大切さを実感できますので、ぜひ家族で観てください。

2013.5.14　TEXT by Myson