2015年1月10日より全国公開
コピアポア・フィルム
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本作は、ベニチオ・デル・トロと、マチュー・アマルリック、二人の名優が共演し、実話を基に映画化した作品です。原作は民族精神医学の確立者として知られるジョルジュ・ドゥヴルー。劇中ではマチュー・アマルリックがジョルジュを演じていますが、ジョルジュが書いた『夢の分析:或る平原インディアンの精神治療記録』が本作の原案となっており、この本で記録されている患者のジミー・ピカードをベニチオ・デル・トロが演じています。 ジミーは第二次世界大戦から帰還後、原因不明のさまざまな症状に悩まされ、同居していた姉に連れられ病院で検査を受けますが、それでも原因は突き止められず、精神分析医が彼を診ることに。担当医のジョルジュは、人類学的見地からもジミーの問題にアプローチしていき、徐々に彼の内面で何が起こっているかが浮き彫りにされていきます。当時、精神分析もまだ浸透していなかったようですが、さらに民族や、人類学的な視点でも問題を追及するというのには驚きました。心のトラブルって本当にいろいろな要素が引き起こしているんですね。精神分析、対話療法って、どこかつかみどころがなく、医療行為として認められるまでに時間がかかったのかも知れませんが、心の病を治すというのは本当に有り難い治療だと実感しました。人間は過去の積み重ねでできていて、今の自分を形成してきたいろいろなことが何をきっかけにマイナスに作用するか、プラスに作用するかはわからないものですね。本作を観ることで一人の人間の心のなかを旅してみて、一度自分の心のなかも旅してみると良いかも知れません。 |
残虐なシーンや、きわどいラブシーンなどはないので、デートで観てもあまり問題はないですが、淡々とした展開でビジュアル的に派手さはないので、ムードが盛り上がったり、テンションが上がるタイプの映画ではありません。でも、彼や旦那さんが元気がない場合は、本作を参考に心のなかに原因を探すきっかけにすると良いでしょう。ただ辛い思いを我慢するのではなく、2人でゆっくり会話しながら心にひっかかっているものを取り出せたら、カップル対話療法ができたってことになりますね(笑)。 |
キッズにはまだ難しい内容で、物語の終盤で少々不可解でやや衝撃的な表現が出てきます。ティーンは理解できる内容だと思うので、これを機に人の心にある問題について考えてみるのも良いと思います。今だけでなく本人が忘れた頃になっても、当人にとって衝撃的な出来事はいつ自分を傷つける原因になるかわかりません。本作を観て、そういう事実を知るだけでも、苦しんでいる人がいたら、少しでも気持ちがわかってあげられるのではないでしょうか。 |
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2015.1.6 TEXT by Myson