2014年5月3日より全国順次公開
フリッカポイカ
公式サイト
ツイート
アスペルガー症候群のシモンと、彼の心優しい兄サム、そして偶然出会った女の子イェニファーの物語。スウェーデンを代表する俳優一家、スカルスガルド家からビル・スカルスガルドが主人公のシモンを演じています。ちなみにビルのお父さんはステラン、兄のアレキサンダーとグスタフも俳優として活躍しています。本作で無表情ながらも静かに心のうちで芽生えていく変化を表現しなければいけない難役をビルは見事に演じています。さすが血筋ですね。 アスペルガー症候群がどういうものかは詳しく知りませんでしたが、映画資料に掲載された精神科医・山登敬之氏の解説を一部抜粋すると「これは自閉症のグループ(広汎性発達障害あるいは自閉症スペクトラムと称している)に含まれる発達障害のひとつだ。アスペルガー症候群は複雑な発達障害であり、その中心に人間関係上の困難を有する。だが、たとえそうであっても一人一人は自分なりのペースで発達し成長する」とありました。そんなシモンは私たちよりも数倍いろいろなことに苦労するだろうし境遇も違いますが、本作で描かれるシモンのストーリーは、私たちの誰もが日常で経験することと同じです。本作ではシモンが唯一信頼を寄せている兄サムとの兄弟愛と、兄がピンチだと感じたシモンが彼なりの方法で兄を救おうと動き出したことから始まった小さな冒険が描かれています。誰だってパターンを破ることは怖いし、自分のことを好きでいてくれる人とだけ接していたいし、新しいタイプの人と接するのはドキドキします。でもシモンの小さな冒険を通して、その冒険の先には少しだけ広くなった楽しい世界が待っていることを実感させられます。とても心が温まる作品で、家のインテリアほか出てくるモノがかわいくて女子が楽しめる要素がふんだんにあります。スウェーデン映画独特の世界観を楽しんでください。 |
デートで観るのもオススメの作品です。始まりは兄弟愛を描いた人間ドラマでいつの間にかラブストーリーになっていた…という展開からとてもステキなラストを迎えます。主人公シモンの独自の方程式で兄の恋人探しをするという設定は、意識的にもしくは無意識に条件で恋人や結婚相手を選ぼうとしてしまう人たちにとっては自分の恋愛観を客観視できる良い参考になるでしょう。実際に今付き合っている人、結婚した人が“方程式”で選んだ人の場合、デートで観るとちょっと複雑な気分になるかも知れませんが、それ以外の方は二人で観て心が近づくという感覚を一緒に味わってください。 |
キッズでもティーンでも充分に楽しめる作品だと思います。アスペルガー症候群について知らなくても、シモンの様子を観ていれば物語は理解できるでしょう。映画を観終わった後にでも大人に詳しく聞いてみても良いと思います。でもアスペルガー症候群の人についての特別なできごとを描いた映画として観るのではなく、人とコミュニケーションを取るときに相手のどんなことをわかってあげれば良いか、自分のことを相手に伝えるにはどうしたら良いか、考えながら観るとより有意義ですね。 |
関連記事:
■【映画に隠された恋愛哲学】恋の相手は、自分と正反対の人が合う?
© 2010 Naive AB, Sonet Film AB, Scenkonst Västernorrland AB, Dagsljus AB, Ljud & Bildmedia AB, All Rights Reserved.
2014.5.13 TEXT by Myson