2013年9月28日より全国公開/PG-12
キングレコード、ティ・ジョイ
公式サイト
いつもの園子温監督作らしくパンチが効いた作品でしたが、今作はいつものべっとり感がなく、カラッとしたコメディとも言える内容でした。一種のヤクザものをホラーというジャンルに入れて良いのかわかりませんが、内容的には充分ホラーです。でも人が撃たれたり、斬られて首や腕が吹っ飛んでいるのにお構いなしでストーリーは展開していくので、初めはこの世界観が怖いと思って観る人もだんだんと感覚が麻痺してくるのではないでしょうか。後半の異常な状況のなかでも映画を撮りきることに執着しカメラを回し続けるキャラクターたちの姿は、園子温監督自身の映画への愛、(社会に向けてと言っては大袈裟かも知れませんが)作り手としてのポリシーの叫びのように思えます。ストーリーはハチャメチャですが相変わらずエネルギー全開で、いろいろな映画へのオマージュも込められていて「俺は命がけで映画を作ってるんだぞ!」と叫んでいるような、そして商業的に誰かのご機嫌を伺って撮るのではなく作りたい映画を作るんだという意気込みを感じる内容でした。冒頭の“歯ぎしりの歌”が数日頭から離れなくなりましたが、この歌を始め、堤真一が演じるヤクザなど、笑える要素も多々あって、今までの園子温監督作とはまた違う新鮮さも楽しめます。相当アホなシーンが多かった点がナイスでした。そして本作でも二階堂ふみが素晴らしい!彼女が演じるヤクザの娘には女子も惚れてしまうと思います。アクが強いので好き嫌いは分かれると思いますが、一見の価値ありです。 |
ヤクザが登場する映画ということで痛いシーンやきついシーンが出てくることは想像がつくと思いますが、腕や首が吹っ飛ぶような血みどろの戦いが繰り広げられるので、そういうシーンが苦手そうな相手を誘うのはやめましょう。笑えるシーンもあり、ある意味楽しい映画ではありますが、怖いと思って観る人にとっては笑えずに終わる可能性もあります。内容がハチャメチャで激しいですが映画愛に溢れた作品なので映画好きカップルにはオススメです。それ以外の方は一人か映画好きの友達と行く方が良いでしょう。 |
内容からして絶対R-15くらいはついているだろうと思いきや、PG-12なので、小学生でも保護者同伴なら観られます。ですが、この手の映画に免疫がなく観ると相当ショッキングだと思います。リアルなストーリーではないので現実と混乱することは少ないと思いますが、例え遊びでも危ないシーンをマネするのはやめましょう。もしかしたら最後まで観て「どういうこと?」と思ってしまうかも知れませんが、映画が大好きな大人が一生懸命撮った映画なんだなと思って、ありのままに受け止めて欲しいと思います。この映画をキッズやティーンがどう感じるのか私も聞いてみたいところですが、親子で感想を言いあってみるとおもしろいのではないでしょうか。 |
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2013.9.10 TEXT by Myson