2016年11月5日より全国公開
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ペドロ・アルモドバル監督作では『トーク・トゥ・ハー』『バッド・エデュケーション』『私が、生きる肌』などエキセントリックな作品のほうが個人的には好きですが、時にシンプルな人間ドラマも描くので、そのギャップも凄いなと思います。本作はその後者のほうで、母と娘の物語ですが監督の作品のなかには、“母”をテーマにしたものが多いのも興味深いです。 本作でジュリエッタの若き頃を演じているアドリアーナ・ウガルテは、スペインのTVドラマでNHKでも放送していた『情熱のシーラ』で主人公を演じていたときから、とても綺麗な人だなと注目していたので、今作でペドロ・アルモドバル監督作で主演に抜擢され、「やっぱり映画界は彼女を放っておかなかった!」と嬉しく思いました。劇中ではビビッとなファッションをしたり、ヌードを披露していますが、品を失わない美しさが彼女の魅力だと思います。本作は母と娘のストーリーでありつつ、男と女の話で、個人的には男女関係の脆さを描いている点に一番興味が湧きました。“生”と“性”の関係性の描き方も絶妙です。本作はペドロ・アルモドバル監督作のなかでは、どんな方も観やすい内容だと思うので、まだ彼の作品を観たことがない方もぜひトライしてみてください。 |
突然姿を消した娘を思う母の物語とはいえ、過去の回想は男女のストーリーがメインとなっていて、関係がぐらついていく描写など、デートで観る話題としては多少気まずくなる要素はあります。また淡々と描かれていく人間ドラマで、メッセージ的なものは抽象的に描かれている印象なので、普段小説や映画にあまり触れていない人が観るとすぐにはピンと来ない可能性があります。なので、デートで観るよりは、こういう作品が好きな人同士で観るほうが、一緒に共感できてより楽しめると思います。 |
大人向けのストーリーなので、キッズにはまだ理解や共感は難しいでしょう。高校生、大学生くらいになると、母親の“女”の部分を客観視できる心の余地も、大人的視点も養われてくると思うので、興味があれば観てみるのも良いのではないでしょうか。母と娘の物語とはいえ、親子で観るのは多少気まずいように思うので、友達同士か一人で観ることをオススメします。 |
©El Deseo
2016.10.26 TEXT by Myson