2015年1月24日より全国公開/R-15
東京テアトル
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新宿歌舞伎町にあるラブホテルを介して、さまざまな事情を抱えた人々がそれぞれに“旅立つ”姿を描いた群像劇。国際色豊かな土地柄だけに日本人だけでなく、韓国人のストーリーも絡み合っていきます。観ているときは気付かなかったのですが、キム・ギドク監督の『メビウス』で狂気に満ちた妻を演じたイ・ウンウ(『メビウス』ではイ・ウヌと表記)が出演していますが、まさにカメレオン俳優!独特の雰囲気を持つ女優さんですが、今後も注目していきたいと思います。主演の染谷将太はもちろん、他の役者も良い演技をしています。彼らが演じるラブホテルで働く人々、そして彼らを囲むキャラクターたちの鬱々とした空気感がとてもリアルで、淡々とした日常を描いているようでいて、夢と絶望の街、歌舞伎町だからこそのドラマチックさがあり、最初から最後まで引き込まれました。暗くて重いだけではなく、ちょいちょい笑えるシーンもあり、緩急が上手に入れられていたのも良かったです。 ラブホテルのすさんだ感じなどからは時代遅れなムードが漂い、ここだけ時間が止まっているようにも見えましたが、いろんな意味で歌舞伎町という街がファンタジックに見えました。夢や悪夢にとらわれた人々の街、歌舞伎町。そこに行ったことがなくても、こういう世界にご縁がなくても、どこかどんな人にも通じるストーリーです。 |
歌舞伎町という街、ラブホテルという設定から、エッチなシーンが出てくることは予想できますよね。なので、濡れ場は気まずいというカップルはやめておいた方が良いし、キャラクター設定に近い状態の人にとっては、深く感情移入するポイントがあるので、気楽にデートで観るという雰囲気になれない可能性があります。夢を追っている人、夢に破れそうな人、一旦夢を諦めたけど悶々としている人にぜひ観て欲しい作品ではありますが、一人で観るか、夢を共有できる仲間と観る方が良いと思います。 |
R-15指定なので、15歳未満の人は観られません。高校生以上のティーンは、これから進路についてより具体的に考えると思うので、染谷将太が演じる主人公やほかの夢を追いながら苦労しているキャラクターの姿は良くも悪くも参考になると思います。ただ、性風俗業が多い街なので夢を叶えるためにカラダを売る人も登場しますが、極端な解釈だけはしないでください。自分ならどうやって夢と向き合うか、どういう道のりで夢を叶えたいのか、自身の価値観について考えるきっかけにしてもらえればと思います。 |
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2015.1.20 TEXT by Myson