2016年3月5日より全国順次公開
ソニー・ピクチャーズ エンタテインメント
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メリル・ストリープ、実娘のメイミー・ガマーが親子役で出演している本作。まず、ほぼスッピンで登場しているメイミー・ガマーの骨格がメリルそっくりというのに驚きですが、自然な演技も母親譲りというか、堂々たる演技がさすがだなと感心しました。そして、今回はロッカーを演じたメリルですが、かなり歌のシーンが多く、歌唱力を実感させられる内容になっています。メリルがこういう役柄をやるなんて、観る前はちょっと想像がつきませんでしたが、やっぱりどんな役でもやってのけちゃうすごい女優さんだなと改めて思いました。それなりに年齢を感じますが、こういう役柄なので若く見える点も新鮮味がありました。夢を追うために家族を手放した母親と子ども達の物語としては、メリルが演じる主人公の気持ちがわからなくもないですが、両立できる範囲な気もして、そこは好きなことと家族の選択で迷ったというよりは、そもそも彼女の生き方として、何かに縛られて生きるのが難しいタイプなんだなという感覚で観ました。元夫の今の奥さんとのやりとりにも象徴されますが、主人公はいつまでも女性であり続ける人であり、母親として失格というわけではないけれど、母親という役割にさえ縛られないタイプなんだなと個人的には解釈しましたが、子を持つ女性が観たら、違った印象を持つのかも知れません。私はまだ子どもがいないので偉そうなことは言えませんが、皆が皆、母は立派だという枠に当てはまらないだろうし、こういうお母さんを描いてくれることに共感を持ちました。女性は、母親として、娘として、妻として、女性として、いろいろな視点でそれぞれに感情移入できる作品です。 |
夫婦の問題が描かれてはいますが、リアルに自分たちとリンクさせるような設定ではないので、どんなカップルもデートで観てOKです。特にお子さんがいる世代のカップルの方が主人公の心情に近い感覚で楽しめると思いますが、娘や息子の視点も描かれているので、若いカップルが観ても良いと思います。結婚を機に家族のいろいろを整理しなくてはいけないという展開は、婚約中のカップルには参考になる部分もあるのではと思いますが、これを機にお互いの家族について話し合ってください。 |
観て問題という内容ではないですが、キッズが観るタイプの映画では無いので、もう少し大きくなってから観ましょう。ティーンの皆さんは、家族の、特に両親の関係についてだんだんと観察力もついてくると思いますが、大人には大人の願望があり、世の中のイメージにはまる親ばかりではないということが本作を観ると少し理解できるようになるかも知れません。実際に自分の親の話だったら許せる、許せないが出てくると思いますが、世の中にはいろいろな事情の家族がいるんだなくらいでも現実を受け入れられれば、大人への第一歩になるでしょう。 |
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