2015年4月25日より全国順次公開
コピアポア・フィルム
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本作はよしもとばななの小説を、安藤サクラ、井浦新主演で映画化した作品です。セリフ口調が実に小説的というかとても印象深かったですが、安藤サクラ、井浦新ともに、違和感なくその世界観を体現していて、良いかキャスティングだなと思いました。安藤サクラが演じる主人公の寺子がベッドで寝ているシーンから始まるのですが、物語のなかで“眠り”が大変重要な要素となっていることがだんだんとわかっていきます。寺子と、井浦新が演じる岩永の関係もじわじわと明かされていくのですが、後半で意外な背景が出てきた途端に、2人について抱く印象も変化し、冒頭と最後で全く違った印象を持ちました。で、そんな風に前半はラブストーリーの部分に注視して観てしまったのですが、谷村美月が演じる寺子の親友しおりについて掘り下げられてきたあたりから、“眠り”は人間の孤独や不安の源に繋がる描写であり、本題はそっちなのかなという印象を持ちました。抽象的な表現でしたが、毎日寝られるだけ長く寝ていた主人公がラストでどう変わっているかで、彼女の恋愛へのスタンスにも変化が起きたように思いましたが、生きる姿勢のようなものがそこに描かれているのかなと勝手に解釈しました。観る人によって解釈が異なるのだろうと思いますが、そういうことを語り合う余地があるのが本作のオモシロさだと思います。 |
よしもとばなな原作なので文学的なのはもちろん、とても静かに進んでいくストーリーなのですが、裸のシーン、ベッドシーンが意外にしっかりあるので、そういうシーンで気まずくなるカップルはやめておいたほうが無難でしょう。安藤サクラが演じる寺子と、井浦新が演じる岩永の関係も一見微妙な様子に思えますが、そこはデートで観る上でそれほど問題はないように思います。明快な答えがある映画を好む人には向いていないですが、映画を観た後に語るのが好きなカップルには向いているのではないでしょうか。 |
ベッドシーンが結構きちんと描写されており、キッズには少々刺激が強いと思うので、大人になってから観た方が良いでしょう。高校生以上ならストーリーにはついていけるでしょうし、安藤サクラが演じる主人公の寺子の年齢設定はまだ若いのでそんなに離れた感覚というのではないと思いますが、情緒的な解釈をどこまでできるかは個人差が出てくるでしょう。ただ、こういうタイプの映画は何を感じたか、どう解釈したかを他の人と語り合うのが楽しいと思うので、友達と観に行くと良いでしょう。 |
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©2015よしもとばなな/『白河夜船』製作委員会
2015.4.13 TEXT by Myson