2018年3月17日より全国順次公開
ミモザフィルムズ
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主人公が修道士で、冒頭から世界経済が話題に出てくるので、難しい話なのかなと構えてしまいましたが、最後まで観ると、とてもシンプルなお話だったのだなと思いました。世界の経済をコントロールする、一握りの富裕層。彼らは大きな計画を実行に移すために会議を開きますが、エコノミストの1人が突然ホテルで亡くなったことで、流れが大きく変わっていきます。彼の死は自殺か他殺か、他殺だとしたら誰が殺したのかというサスペンス的な展開はもちろん、彼の死を世の中にどう公表するのが“一番都合が良いか”を議論する政治的な目線でも描かれていて、多様な観方ができます。この会議に招かれた修道士のみが死の真相を知っていて、彼が沈黙を貫くことで、周囲にいる人間達の欲望や身勝手さが暴かれていきますが、最後の修道士による成敗が、なんとも優雅でカッコ良いです。また、修道士の前職が“ここに繋がるのか!”という驚きが爽快でした。世界の経済を動かすという立場になり、人間としての心を使わなくなってしまったエコノミストの死。この物語は、人間が生きていく上での心の重要性と、人間が心を動かさずに生きられるかを投げかけていると解釈しました。そんな哲学的なメッセージも多く含まれている点でも楽しめました。 |
静かにたんたんと物語が進み、派手さがないので、誰にでも観やすい作品とは言えません。映画を観慣れていない人を誘うのには向いていないと思います。ただ、哲学的なストーリーが好きな人、本をよく読む人なら、好んでくれそう。ロマンチックなムードになるような展開はありませんが、逆にそういうムードが苦手なら、こういう作品のほうが観やすいかも知れません。 |
キッズにはまだ難しい内容だと思います。最後まで観れば理解できるストーリーではありますが、そこにたどり着くまで集中力が持つかどうかを考えると、大人向きでしょう。大学生以上なら、興味を持てば観てみると良いのではないでしょうか?また沈黙の威力を感じることもできるので、大人のたしなみを学びたい人は参考にしてみてください(笑)。 |
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2018.3.7 TEXT by Myson