正式名称『シーヴァス 王子さまになりたかった少年と負け犬だった闘犬の物語』
2015年10月24日より全国公開
ヘブンキャンウエイト、配給協力:太秦
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言葉で多くを語らず、情景で語っているという印象が強く、主人公の少年アスランの心情の変化がとてもリアルで、ストーリー・テリングの仕方、いろいろな描写がとても巧いなと思いました。でもカアン・ミュジデジ監督はこれが長編初監督となる作品で、さらに驚くことに、主演のドアン・イスジを含め、キャストの多くは今作が初の映画出演とのことなんです。先日来日した監督にインタビューしたところ、映画初出演の11歳(撮影時)の子どもと、行動の制御に限界がある犬が主演ということで、最初はうまくいかずに諦めそうになったとおっしゃってましたが、小手先でやらずに本物の演技にこだわったからこそ、子ども達や犬の自然な表情が引き出せたのかも知れませんね。ドアン・イスジが演じるアスランがとてもカワイイのですが、たまにちっちゃいおじさんに見えるときもあり、そんなところも含め、愛くるしいです。派手さは正直無いですが、闘犬との交流を通して成長していく少年の姿に、女子もキュンとしてしまう作品なので、ぜひ観てみてください。 |
少年と闘犬の話なので、観ていて2人がロマンチックになるような展開はありませんが、主人公のアスラン少年が恋心を抱くアイシェとのシーンはちょっとホロッとくるところもあり、ほどほどに良いムードにはしてくれるでしょう。闘犬シーンは結構激しいので、犬が戦う痛々しいシーンが観ていられないという犬好き女子もいるかも知れませんが、アスラン少年と犬のシーヴァスとの交流は心温まるものがあるので、可哀相な展開は警戒するほどのレベルではないと思います。 |
11歳の少年が主人公で、難しいストーリーでは無いので、小学校高学年以上なら、主人公目線で楽しめると思います。情緒的な描写が多く、わかりやすく説明してくれるような映画ではありませんが、逆に主人公の目線に近い感覚で観られるキッズやティーンの皆さんは、心で感じるままに観て欲しいと思います。なぜアスランはシーヴァスを助けようと思ったのか、シーヴァスはなぜアスランと出会って強くなったのか等、観終わったあとに感想を述べ合うのも有意義なストーリーです。 |
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■カアン・ミュジデジ監督インタビュー
©COLOURED GIRAFFES
2015.10.19 TEXT by Myson