2018年5月4日より全国公開
東北新社、STAR CHANNEL MOVIES
公式サイト
サスペンス的なカラクリは意外に早い段階で明かされるのですが、この物語は、害のない“見知らぬ者”“異種の者”を無意味に恐れて、本当に目を向けるべき身近な危機に目をつむる人間の愚かさを浮き彫りにしている点が、とても深いし、おもしろいと思います。肌の色が違うことなんて、何も恐れることではないのに、逆に身内や身近な人の悪には無頓着な人間がすごく皮肉に描かれていて、子どもと大人の対比でそれをわかりやすく演出している点も上手いなと思いました。一見幸福感が漂っているけれど、実は住人が人間的に病んでいる不気味な町を舞台にしている点は、人気海外ドラマの『デスパレートな妻たち』を彷彿とさせますが、他にもニコール・キッドマン主演の映画『ステップフォード・ワイフ』や、M・ナイト・シャマラン製作の海外ドラマ『ウェイワード・パインズ 出口のない街』など、こういう設定に一定の人気があるのかなと思いました。実際に私自身もこういう設定大好きです。マット・デイモン、ジュリアン・ムーアの不気味な演技も見事ですが、子どもキャラクターもとても可愛くて、演技力も抜群。途中結構ハードな展開にはなりますが、シュールな笑いを誘うシーンがあったり、少し希望を残してくれるラストというところに、センスを感じます。ちなみに監督はジョージ・クルーニー、脚本にジョエル&イーサン・コーエン兄弟が名を連ねていますが、彼等の作風を好きな人の期待も裏切りませんよ。 |
スリリングなストーリーなので、吊り橋効果はあるように思います。“そんなバカな!”という展開が何度もあり、飽きずに観られる点でも、デートで観るのもアリかも知れません。複雑な恋愛関係が描かれてはいますが、自分達に置き換えて観るような設定ではないので、ご安心を。多少激しいシーンが出てくるので、その点だけ考慮して、相手を誘ってください。 |
子どもも活躍するので、彼の視点で楽しめそうな気もするのですが、ゾッとする話なので、キッズには少々刺激的な気がします。中学生以上なら、純粋にエンタテインメントとして楽しんでもらえればと思いますが、「本当に恐れるべきは何か」を問う深いテーマも含まれているので、主人公だけでなく周囲の住人を含め全体的な人間描写に注目してもらえると、より充実した鑑賞ができると思います。 |
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2018.4.25 TEXT by Myson