2014年6月20日より全国公開
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ポール・ハギスが監督、脚本を務めた本作。思ったとおり少々ややこしいストーリー展開ではありました。この複雑さが好き嫌いの分かれるところではありますが、私は嫌いではありません。むしろこういうややこしいのが好きな方ですが、本作は『サード・パーソン』というタイトルの意味を考えながら観てみました。3つのストーリーが同時に展開していくように描かれていますが、それぞれの人間関係に「第三者」が加わることで思わぬ方向へ進んでいく様を皮肉に描いているようにも、楽観的に描いているようにも思えます。「第三者」が加わることで好転するところもあれば、崩壊へと進むところもあります。正直なところ観終わったあとの爽快感はありません。でもこの観終わったあとの混乱こそが、作り手と同じ混乱を味わった感触なのかも知れません。資料によるとポール・ハギス監督は今作の脚本を作るにあたり「僕は自分には答えることのできない、人間関係についてのあらゆる種類の質問をあげてみた。“どうしようもない”人間にどう対処するのか?彼らを変えることで自分の必要なものを得られるのか?…」と、この他にも多くの質問が記載されていましたが、ポール・ハギス監督自身が書いた脚本の中でこの索引が一番難しかったと語っています。また製作パートナーのマイケル・ノジックは「ハギスは50回くらいは草稿を書いたはすだ」と述べています。それくらい、頭を悩ませたということなのだと思いますが、ここで描かれている人間関係は、監督が人間関係について自問自答した答えのなかの一部。まさに答えがない哲学がここに描かれていると言っても良いのではないでしょうか。 |
なかなかロマンチックな展開もあるので、デートで観ても良さそうですが、解釈が難しい作品ではあるので、単純明快な映画を好むカップルには向いていません。逆に観終わったあとに頭のなかを整理する意味でも人と話したい要素はいろいろとあるので、物語が交錯するタイプの映画を好きなカップルは話題には困らないでしょう。そういうカップルはある程度解釈できるまで、2人で何度も観るのも良いかも知れません。 |
上映時間が137分と長く、複雑な構成ではあるので、キッズには難しいでしょう。テーマはかなり大人向けなので、ティーンでもいろいろな映画を観慣れている人や、本をよく読む人など、複数の物語が交錯するようなタイプの作品が苦にならない人は挑戦してみると良いと思います。1人でじっくり観るのも良いですが、できれば誰かを誘って観て意見交換すると、いろいろな解釈がお互いに参考になっておもしろいと思います。 |
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2014.5.20 TEXT by Myson