2017年6月3日より全国公開/PG-12
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『人生はビギナーズ』で、ゲイだとカミングアウトした自身の父について描いたマイク・ミルズ監督が、今度は自身の母をモデルに描いたのが本作。マイク・ミルズ監督自身は、個性的な親御さんのもと苦労した部分は多々あったと思いますが、両作を観て、お父さんもお母さんもすごく素敵な人だなと思いました。 本作でアネット・ベニングが演じている母親は、とても斬新な考え方をする人。実際に子どもを持つ親なら、彼女のやり方に賛否両論あるかも知れませんが、個人的にはこういう子育てもありだなと思いました。でも、彼女に共感できたのは、常識に縛られない考え方だけではなく、ちゃんと親として、1人の人間として、人生の怖さを知っている点です。器用にやっているように見えて、本当はすごく不器用。不器用なりの知恵みたいなところが、すごく共感できました。「母親って、子どもの事は何でもわかるんだから、すごいでしょ!」というスタンスの母親崇拝映画になっておらず、等身大のお母さんを描いているところも素晴らしいです。綺麗事だけじゃなく、母親って本当はこういうものだという部分を隠さずに語っている点で、母親になることに気負いを感じてしまっている、若い女性達にも共感できる内容になっているのではないでしょうか。子ども目線で観ても、母親目線で観ても、心に刺さるものがある秀作です。 |
テーマは親子ですが、大人の恋愛事情も描かれていて、デートで観るには微妙なところもあります。ただ、ここで描かれている恋愛ストーリーはちょっと特殊な部分もあるので、複雑ないきさつもなく順調に交際をしているカップルなら、一緒に観てお互いの家族について語る機会にするのも良さそうです。家族に会いたくなるストーリーなので、離れて暮らしている人は、鑑賞を機にカップルで実家を訪ねてみるのも良いでしょう。 |
ティーンの皆さんは、息子のジェイミー(15歳)や、彼の友人のジュリー(17歳)などの目線で観て共感する部分があると思います。だんだん大人になっていくお年頃の子どもとどう向き合うべきなのか、他人よりも家族同士のほうが、もしかしたら難しいのかも知れません。皆さんのなかには反抗期真っ盛りの人もいるかも知れませんが、親は親なりに、いろいろ悩んでいるというのが、本作を観るとちょっと理解できると思いますよ。 |
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2017.5.24 TEXT by Myson