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31 5月

なぜプライベートを映画にするのか『20センチュリー・ウーマン』マイク・ミルズ監督来日

Posted in 未分類 on 31.05.17 by Merlyn

映画『20センチュリー・ウーマン』来日トークイベント、マイク・ミルズ監督『20センチュリー・ウーマン』来日トークイベント、マイク・ミルズ監督

 

Apple Store銀座で行われた“Meet the Filmmaker”にマイク・ミルズ監督が登壇。本作の背景や、映画作りのスタンスについて、会場いっぱいに詰めかけたファンに向けて、たっぷりと語りました。

さっそく司会から「1979年のサンタバーバラを舞台にした、母親と息子のストーリーは、どういったところから着想したのですか?」と問われると、「これはまさに自分の人生の物語で、お母さんのドロシアという役は、自分の実際の母親がモデル、グレタ・ガーウィグが演じたアビーは自分のお姉さんがモデルです。エル・ファニングが演じているジュリーは、僕の部屋の窓に上ってきた何人かの女性が一緒になったキャラクターなんです」と答えました。続けて「監督のこれまでの作品も含め、自身の体験などパーソナルなものを取り入れているのが特徴的だと思いますが、それはなぜですか?」と聞かれると、「決してそういった映画を最初から作ろうと思っていたわけではありません。自分はシャイなので、自分の事を映画にするとは思っていなかったんです。前作の『人生はビギナーズ』では、75歳でカミングアウトして、ゲイとしてのとても幸せな5年間を過ごして亡くなった、私の父の事を描きました。それはすごくユニークな出来事で、私が大好きなフェデリコ・フェリーニや、ウディ・アレンのような映画ができるんじゃないかと思ったんです。作ってみたらとても楽しくて、敢えてパーソナルなものを作ろうとしたわけではないですが、人間のユニークさを見せる良い機会が自分に与えられたと捉えています」と語りました。

1979年に起きた様々な出来事、例えばジミー・カーター大統領のテレビ演説など、歴史と監督のパーソナルな出来事が重なっている脚本を書いた意図を聞かれると、「今回は母親を中心とした3人の女性を描きたかった。3人ともとてもパワフルな女性で、母も大変ユニークな人でした。母は第二次世界大戦中にパイロットになりたい、さらに建築家になりたいという夢を持っていました。当時の女性としては時代の先を行く人だったんですね。言ってみれば女性らしくない事をしていたんです。そういう人物を描く際に、歴史的背景って絶対に必要で、歴史によって人間は創られていくので、それを語らずに人間を描くことはできないと思いました。また1979年のアメリカは、ジミー・カーター政権からロナルド・レーガン政権に代わった時です。アメリカでは第二次世界大戦から1979年までが1つのチャプターで、1980年以降が新たなチャプターのスタートだったんです。それは今に繋がっていると考えています。あと1979年にパンクロックがアメリカの郊外の町にまで届いたんです」と、人間描写へのこだわりや、本作の歴史的背景の詳細を明かしました。

映画『20センチュリー・ウーマン』来日トークイベント、マイク・ミルズ監督ファッションについは、「例えばアネット・ベニングの役は、実際の母の形見のブレスレットを付けていたり、母がよく着ていたようなデザインのブラウスを衣装にしています。劇中のオーバーオールも母らしい服装です。あとトーキング・ヘッズのTシャツは、姉がニューヨークから買ってきてくれて、実際に僕が着ていました。当時のサンタバーバラでは、特にハードコアな人達からは“トーキング・ヘッズを聞くなんて、そんな女々しいことはない”と思われて、当時そのTシャツを着ていたらこてんぱんにされました」と、家族や自分の過去について振り返りました。また音楽については、「自分が一番最初にものをクリエイトしたのは、パンクバンドで活動していた時。決して上手なミュージシャンじゃありませんでしたが、音楽を聴くという事に関しては、センシティブな耳を持ったリスナーだったと自負しています。音楽が自分の感情に直接アクセスする手段だったんです。70年代のメイン・エクストリームな音楽や、普通と思われているものは、自分にとっては本物感が感じられず、自分のなかに響いてこなかった。でも初めてパンクを聴いたときに、不幸せでも、怒りがあっても、ひねくれていても大丈夫なんだ、良いんだ、許されるんだと思えて、すごく救われました。なので自分にとっては、音楽はセラピー以上のものです」とコメント。マイク・ミルズ監督のお話からは、人生そのものが映画作りに繋がっているとひしひしと感じられましたが、だからこそ、本作はリアルで、共感できるものになっているんだなと改めて思いました。本作で描かれる3人の女性の姿からは、あらゆる問題に立ち向かう強さをもらえます。女性必見ですよ!

 

来日トークイベント:2017年5月25日取材 TEXT by Myson

 

映画『20センチュリー・ウーマン』アネット・ベニング/エル・ファニング/グレタ・ガーウィグ/ルーカス・ジェイド・ズマン/ビリー・クラダップ『20センチュリー・ウーマン』
2017年6月3日より全国公開
ロングライド
公式サイト
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