シリーズ累計250万部を突破したコミック『TOKYO TRIBE』の2作目を映画化した本作は、バトル・ラップ・ミュージカルと称しています。ラップってなかなか難しいので、観る前はやや心配はあったし、映画が始まって慣れるまでむずがゆい感じはしましたが、だんだん観慣れてきます(笑)。ラップに詳しくない私が観てもやはり本業がラッパーのYOUNG DAISなどが歌っているシーンはうまさに違いが出ていてカッコイイですが、正直なところ全般的なラップのスキルについてはあまり考えない方が楽しめると思います。とはいえ、この物語の舞台が東京でありながら異世界なので、ラップでセリフが語られることで、そういう世界観は生きているように思えました。
役者も脇役は有名どころを多く起用し豪華ですが、メインキャストはオーディションで決めたとのことで、良い意味でまだ洗練されていない若手独特のエネルギーがこの作品に充満しています。特に驚いたのが鮮やかな身のこなしで激しいアクションシーンをこなしているスンミ役の清野菜名。顔は吉瀬美智子にとてもそっくりで清楚なイメージなのに、戦闘シーンではパンツ丸見えで驚くほどの動きを披露しています。全部自分で演じているそうですが、日本に新しい本格派アクション女優が誕生したと言っても良いレベルだと思います。そして、園子温監督作品ですから脱いで当たり前ですが、潔く脱いでいるのも感心しました。まだ19歳だそうですが(2014年7月現在)、今の時点でここまでやる度胸の持ち主ですから今後がとても楽しみです。そして、脱いで当たり前といえば、男も同じ。『HK 変態仮面』で見事な肉体美を披露した鈴木亮平ですが、本作ではマッチョなだけでなく身体を大きく改造して登場。登場シーンの半分以上はティーバックで、シャワーシーンでは全裸の後ろ姿を披露しています。そして、脱いでいないにしてもビックリだったのは、叶美香ですら胸やお尻を揉みまくられていたシーンです。超セレブでもここまでやらせる園子温がすごいのか、叶美香が自ら潔くやったのかわかりませんが、やっぱり園子温監督作はほかの邦画では観られない要素がいろいろと詰まっているので飽きません。本作はユーモラスなシーンも多く、オチも良い意味でくだらないのが笑えますが、アクションシーンは本格的に作られていて見応えがあり、強いメッセージを放つシーンもあります。とにかくどんな解釈、楽しみ方をするにせよ、充実感は十分に感じられる作品です。今までの園子温監督作に比べると観やすい方なので、まだ園監督作を観たことがない女子はレッツ・トライ!
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肉欲や暴力がメインで描かれているので、お堅い人は抵抗を感じるかも知れません。ヌードも多々出てくるので、そういうシーンが気まずいカップルには向いていません。また、ただのミュージカルではなく、ラップ・ミュージカルという点で馴染みづらいと感じる人がいるかも知れないので、誘う際は事前にそういう情報を伝えておいた方が良いでしょう。こういう点をのぞけば、怖い映画に見えて笑えるシーンも多くあるので、気楽に観ればどんなカップルでもオーケーだと思います。 |
<リクエスト1>ベロベローナさん:友達以上、恋人未満の相手がいる
Q:園監督が舞台挨拶で『アナと雪の女王』について、「あんなの蹴散らす!」と言っていたのでメチャ期待できます!映画評論家の町山智広さんも「動物映画」と絶賛していました。
A:映画はすごくおもしろいのでぜひ観て欲しいのですが、誘う相手が映画を普段あまり観ない方だったり、園子温監督を知らない方だったら、ちょっとビックリするかも知れません。ある程度、予備知識を入れてあげた上で相手もオーケーならばデートで観ても良いのではないでしょうか?逆にこのおもしろさを共感できたら、2人の距離もより縮まるかも知れませんよ。 |
R‐15なので、15歳未満の人は観られません。15歳以上のティーンの皆さんは、好奇心と欲望渦巻くお年頃なので、一歩間違えれば本作のなかの若者たちのように危ない世界に引きづりこまれる可能性は私たちの日常にもあることを自覚しながら、誘惑の先には落とし穴があるかもしれないということも少し学びつつ、この映画のジェットコースターのようなスリルを素直に味わって楽しんでください。 |