2019年2月8日より全国順次公開
シンカ、アルバトロス・フィルム、STAR CHANNEL
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本作はドイツ人兵士ヴィリー・ヘロルトにまつわる実話を映画化していますが、本当に信じがたい内容で衝撃的です。彼は終戦の数週間前に部隊からはぐれ、ドイツの無人地帯を彷徨っている時に、乗り捨てられていた軍の車輌と、車内に大尉の軍服を見つけます。その軍服を身につけ大尉になりすましたおかげで、命の危険を何度も回避していくのですが、それだけでは終わらず、権力に魅せられ、虐殺に手を染めていきます。彼はなんとその時20歳。子どもが大尉の軍服を着ているようにも見え、不自然なのですが、出会った人物達には逃走兵もいて、彼の堂々たる態度に、自分の命を守るために恐らく彼の扮装に付き合ったほうが得だと考えた人もいたのでしょう。徐々に仲間が増え、ヘロルトが築いた”世界”が実物になっていき、彼自身が完全に正気ではなくなっているにも関わらず、あまりにも冷静な態度に見えてゾッとします。また彼が偽物であることが発覚した時にもおかしな展開があり、全部ひっくるめて戦争という狂気の世界の恐ろしさを実感しますが、権力に魅せられた人間の心理と、集団心理が間違ったほうに向かう例としては、私達の日常でもありうることです。人間誰しもこういう一面があるということを改めて知るために、観て欲しい作品です。 |
かなりダークな内容で、まったくロマンチックではないので、デートの雰囲気を盛り上げるような作品ではありませんが、内容があまりに衝撃的で、観終わった後に話したくなる要素はたくさんあります。映画が好きなカップルなら、会話が盛り上がると思うので、デートで観るのもよいのではないでしょうか。 |
主人公の見た目は悪人には見えないし、どんどん権力は手に入れていくし、年齢も20歳と若いので、近い世代の皆さんは憧れてしまう可能性がなきにしもあらずです。でもこれは実話だということをしっかりと覚えて観てください。戦争中だからといって、人を平気で殺して良いわけがありません。彼のようになってしまうことがいかにおぞましく醜いことなのか、そして彼のように虐殺しなくても、人を平気で傷つけてしまう心理がどうやって生まれるのか、観て考えてもらえると嬉しいです。 |
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2019.1.23 TEXT by Myson