2015年7月3日より全国公開/PG-12
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トム・ロブ・スミスによる原作は、旧ソビエト連邦で実際に起きたアンドレイ・チカチーロ連続事件から着想を得ており、全世界でベストセラーながら、ロシアでは発禁本となっている問題作です。舞台は1953年、スターリンの恐怖政治の時代。“完全なる国家”を目指していた旧ソ連では、「この国で殺人はあってはならない」とされていました。その理論は一見素晴らしいと思うのですが、実は本当の意味で殺人を無くすという意味ではなく、タブー視されているだけであって、殺人が起きている事実を認めないという価値観に驚愕させられます。子どもが失踪しては死体が発見されるという不可解な事件と、孤児から戦争の英雄となりエリート捜査官となった主人公のレオがどう関わりを持っていくのか全く予想できませんでしたが、権力体制のなかで真っ当に生きることがいかに難しいかということをレオというキャラクターを通して巧みに描いています。レオと妻の関係性にもすごく衝撃を受けました。すべてが歪んでいる世界のなかで、一番の敵は誰なのか、犯罪自体を認めない世界で正義をふるうにはどう戦えば良いのか、本当に生きるのが難しい世界をリアルに物語っていて、とても見応えがありました。キャストもすごく豪華で、主演のトム・ハーディをはじめ、ゲイリー・オールドマン、ノオミ・ラパス、ジョエル・キナマン、パディ・コンシダイン、ジェイソン・クラーク、ヴァンサン・カッセルと名優が勢揃いしています。特に今作で異彩を放っていたのが、不気味な悪役を演じたジョエル・キナマン。こういう腐った世界でこそノビノビと生きる狂気に満ちた人間を演じています。観て損はない作品なので、良質な映画を観たい方はぜひ! |
ダークな内容なので、晴れ晴れした気分で過ごしたい日のデートには向きませんが、夫婦観、男女の信頼関係など、カップルで観て有意義なテーマも出てくるので、つきあいが長いカップル、夫婦には良いと思います。ただ、男女関係においてショックな事実が明かされるシーンがあります。つきあっていて、何だか心の距離を感じる、相手が自分に合わせすぎていると感じている方は、1人で観て客観視することをオススメします。 |
PG-12なので、キッズが観る場合は大人と一緒に観ましょう。ティーンは中学生以上なら理解できる内容だと思います。「このミステリーがすごい!」2009年版海外編の第1位に輝いた原作をもとに映画化されているので、本が好きな人には特にオススメです。旧ソ連で起きた実際の事件から着想を得て作られたストーリーなので、国家、独裁者の方針のために国民の生活が脅かされる様子など、外の社会で起きていることを知り、視野を広げるためにも観て欲しいと思います。 |
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2015.6.16 TEXT by Myson