2014年2月15日より全国公開
アスミック・エース
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公的にも黒人差別があった1950年代から、徐々に解放へと向かった1980年代にかけて、8期の大統領に仕えたユージン・アレンという人物の物語を映画化した本作。子どもの頃に壮絶な体験をして、何とか生き延びてきた主人公(本作ではセシル・ゲインズという名前で7人の大統領に仕えたという設定)が、あの境遇から大統領の執事になるなんて、本当にすごいと思いますが、これはもちろんただのサクセス・ストーリーではありません。生きるために仕事をし、仕事を守るために、人との接し方を身につけたセシル。こうして彼は執事の仕事を長らくやっていけるのですが、家族に寂しい思いをさせなければならず奥さんに責められたり、黒人としての姿勢を巡り息子と衝突したり、さまざまな葛藤を強いられます。特に息子との衝突は、人種差別にどう立ち向かうかという価値観を示すもので、どちらが正しい、間違っているという話でもなく、そもそも人種差別があることが悪なので「なぜ、彼らがこんなことで家庭まで壊されそうになるのか」と悲しくなりました。セシルたちの暮らしぶりは悪い方では無かったように見えましたが、彼らが本当に幸せになるには時間がかかったんだなとしみじみ思いました。7人もの大統領に使えたストーリーなので一人一人は少しずつしか登場しませんが、それだけの人数が変わる時間を過ごしてようやく人種差別の状況が変わってきたということがそのことを実感させます。世界の大きな変化をじっと見つめてきた大統領の執事の目線をぜひ映画で体感してください。 |
人種差別の話なので、辛いシーンはいくつかあります。露骨に映っていることは少ないので観るに耐えないほどではありませんが、前半は特に重いので、気楽なデートにしたい日は避けて、映画をじっくり観ようという気持ちの日に観ると良いでしょう。でもラストは良い終わり方なので誰でも抵抗なく観られると思います。男女問わず楽しめる作品ですが、相手があまりにも歴史に疎くて、有名な大統領のことすらわからない知識の場合は話題を共有できずに冷める可能性もあるので注意です。 |
キッズにもティーンにも知ってもらいたい事実が描かれている作品です。アメリカでの黒人差別について少し知識を入れてから観てみると理解が深まります。1950〜80年代の歴代の大統領も出てくるので、彼らそれぞれのできごとなども印象に残り、勉強にもなるでしょう。小学生低学年のキッズはまだ難しいかも知れませんが、外国に興味があるなら、大人の人と一緒に観て、観る前や観た後に解説をしてもらうと良いですよ。 |
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2014.2.5 TEXT by Myson