2016年9月10日より全国公開
キノフィルムズ
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主人公の小夜子は、子どもも大きくなりほとんど手が離れ、夫との関係も落ちついて、どこかポッカリと心に穴が空いてしまった様子。そんな彼女がたまたま訪れた美容院で出会ったイケメン美容師に執着していくのですが、常盤貴子の演技が絶妙で、この小夜子が超不気味!小夜子みたいな人に目を付けられたら相当怖いと思いますが、一見ストーカーのようで、厳密にはストーカーよりもいびつな心情を抱えている点で余計に厄介です。彼女の場合、夫との関係はそれほど悪いようにも見えず、夫は忙しいとは言え、妻のことをちゃんと女として意識している節もあります。それでも、小夜子が何か物足りなさを感じてしまうのは、変わらない日常に対してではないかと思いました。とはいえ、彼女も日常を壊したいわけではなさそうで、彼女はちょっとしたときめきが欲しかっただけなのかも知れません。これが健全な形なら、アイドルや韓流スターに夢中になる程度で解消されそうですが、小夜子の場合は身近にいる特定の男子に夢中になってしまっただけではと感じました。のめり込む相手は誰でも良いわけで、そう思うと誰でも無意識にこういう状況に陥る可能性がありえます。自分でもよくわからない孤独感や空しさを抱えている女子の皆さんは、本作を観てちょっと客観視してみるのも良いのではないでしょうか。 |
夫がいながら、他の男性に執着する女性のお話なので、デートには向きません。女性には共感できる部分も多いとは思いますが、男性が観ると女性の不気味さにおののくかも知れません。ストーリーはじとじとしていますが、女同士で観た方が、小夜子の気持ちがわかる、わからないという話や、自分の身の回りのイケメンの話などで、気楽にトークが盛り上がりそうです。 |
お母さんの様子がどんどんおかしくなっていく様は、子ども心にはとても複雑に見えると思うので、キッズにはオススメしません。高校生くらいになると、こういうサスペンスは自分の生活と切り離して楽しむ余裕があると思うので、興味があれば観て、大人の心理を想像してみるのも良いかも知れません。あと、斜めな観方ですが、一見人の良さそうな人でも、自分の情報はあまりペラペラと話さない方が良いことも、この映画から学べます。 |
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2016.8.22 TEXT by Myson