映画に隠された恋愛哲学とヒント集48

主人公の小夜子は、夫と娘と共に新しい町に引っ越してきて、ある美容院を訪れます。そこで担当してくれた若いイケメン美容師、山田海斗を気に入った小夜子は、彼から届いた営業メールをきっかけに、彼にのめり込み始めます。お店に頻繁に通うだけでなく、家まで押しかけるようになる小夜子。夫との関係が悪いようには見えませんが、彼女の真意はいかに。

一見良いお客に見える小夜子に対して、最初海斗は警戒心がなく、自宅の近所の話などをしてしまいます。でも小夜子の海斗への好奇心は彼に会う度に膨らみ、彼の家を勝手に訪ねたり、徐々にエスカレート。そんな彼女の行為はストーカーにしか見えず、海斗に好意を持ち、執着していると思えます。とはいえ、夫との関係もそれほど悪いわけでは無さそうで、妄想のなかでは夫と触れあっていたり、夫に飽きているわけではないようです。
会いに行くドキドキを味わったり、髪に触れられたり、少しプラトニックな関係が小夜子にとって新鮮なのかも知れません。だからこそ、海斗とリアルに恋に落ちると彼女の楽しみは終わりそうな気もするし、彼女もそれを望んでいるわけではなさそうです。相手は実際誰でも良くて、一人遊びをしているような感覚に似て、バーチャルな恋愛に近い。小夜子を可哀相な女性という視点で観ると、孤独に陥ったがためにクレイジーになった人に思えますが、ただ暇つぶしをしている程度に解釈するならば、彼女の行為は、とても“都合の良い”大人の恋愛ごっこなのかなと思えます。