島田荘司の本格ミステリー小説、 “御手洗潔”シリーズ初の映画化!ということで、謎解きのおもしろさに期待を込めて鑑賞したのですが…。なんというか、観終わった後はちょっぴり不完全燃焼感が残ってしまいました。原作ファンのために言っておきますが、決して物語の設定が悪いわけではありません。一見、無関係な3つの難事件が複雑かつ絶妙に絡み合い、その伏線として描かれる瀬戸内の“時計仕掛けの海”や“星籠の謎”、“水竜伝説”といったエピソードもロマン溢れるものばかり。ただ、この壮大なミステリーを2時間弱に収めるのは、ちょっぴり無理があったのかも?一つひとつの事件が急ぎ足で展開されていったこと、犯人の生い立ちやバックグラウンドが深堀りされておらず、犯行動機がイマイチ説得力に欠けていたため、映画全体の印象がぼやけてしまったのが残念ポイント。とはいえ、これまで映像化を拒み続けてきた原作者が玉木宏に惚れ込んで映画化をOKしたというだけあって、彼の演じるミタライはとってもクールな変人で魅力的です(笑)。また、物語の舞台となる瀬戸内の海や福山の風景描写がとても美しく、まさに眼福といったところ。今回は辛口批評になっちゃいましたが、リベンジも込めてぜひ第2弾、3弾と映画化してほしいなと思う作品です。 |
ミステリー好きのカップルはもちろん、村上水軍の秘密や水竜伝説など、男性が好みそうな日本史や郷土史のエピソードがたくさん出てくるので、歴史好きの彼とのデートにもぴったりです。ラブストーリーの要素はほぼありませんが、物語を彩る瀬戸内の情景がなんともロマンティックで、旅情をかきたてられる人も多いはず。観賞後は「一緒に旅行に行きたくなっちゃったな…」な〜んて、彼に甘えてみるのもアリだと思います! |
映画の冒頭に、かなり猟奇的なシーンが出てきます。小さいお子さんは怖がってしまうかもしれませんが、それ以外は過度にショッキングな描写はありませんのでご安心ください。殺人事件の背景はかなりダークで、展開もシリアスですが、それを中和しているのが広瀬アリス扮する女性編集者、小川みゆきの存在。良い意味で空気の読めない天真爛漫なキャラで、「人が死んでいるのに、はしゃぎすぎだぞー」と思わずツッコミを入れたくなる場面もありますが(笑)、とってもかわいくて映画に華を添えています。 |
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2016.6.3 TEXT by min