2015年9月12日より全国公開
松竹
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1995年に発表された東野圭吾の「天空の蜂」を映画化した本作。2011年3月11日に起きた東日本大震災を機に、今まさに原発問題への関心が高まっていますが、今から20年前にこういったストーリーが作られていたと考えると予言のように思えて、今観るからこそストーリーの現実味も増して、想像以上の緊迫感がありました。それと同時に、こんなご時世だからこそ原発反対か賛成かというスタンスを示すことが、エンターテイメントの世界にも政治的圧力が波及する可能性もあると思われるなか、映画化したのは凄いことだと思います。そして何より心を打たれたのは、私たちに対する警告だという点です。目の前にある現実から目を背けたがる人間たち、考えない人間たち、沈黙し外野から観ているだけの人間たち…、それこそが一番の罪だというメッセージがひしひしと伝わってきました。そして、原発に直接関わる人達にも、いろいろな事情があり、共に苦しんでいるということを改めて知ることができるストーリーというのにも共感できました。堤幸彦監督のもと集結した豪華俳優陣の共演も見どころだし、映像や音楽も洋画のようなスケールを感じさせますが、これはただのエンターテイメント映画として捉えられてはいけない映画だと思います。原発に賛成でも反対でも、ちゃんと考えての結果でないと、いけないなと実感しました。と同時に原発についてよくわからない部分も多いので、この映画と共にちゃんと原発についての情報が一般に届くような講演会、関係者の討論会などがあっても良いのではと思います。より多くの日本人が観るべき映画です。 |
いわゆるデート向きな映画とは言えませんが、たまにはこういった映画を観て、語るのも良いのではないでしょうか?「原発についてよくわからないから」「自分には関係ないから」というのではなく、こういった問題をどう捉えるかという点で、お互いの価値観は見えると思います。意見が違ったからといって相性が悪いとか表面的な問題ではありません。どうしてそう思うのかをお互い理解するだけでも良いと思います。 |
幼いキッズにはまだ難しいかも知れませんが、小学校高学年なら理解できると思います。子どもたちにもぜひ知っておいて欲しい内容だし、考えるべきテーマが描かれている映画です。親子で観に行って一緒に考えてみるのも良いですし、友達同士で観て議論するのも良いでしょう。原発に限らず、「自分には関係ない」という意識自体が問題です。それは自分たちの身の回りで起きている問題から目を背いているのと同じこと。問題から逃げないで皆で一緒に考える大切さを感じて欲しいと思います。 |
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©2015「天空の蜂」製作委員会
2015.8.25 TEXT by Myson