上手い!上手すぎる!『リトル・ダンサー』『めぐりあう時間たち』『ものすごくうるさくて、ありえないほど近い』のスティーヴン・ダルドリーが監督、『ラブ・アクチュアリー』『アバウト・タイム〜愛おしい時間について』のリチャード・カーティスが脚本なんだから、そりゃ間違いないですよね。そして、やっぱり期待以上のものを見せてくれて大満足でした。
原作小説では架空の都市が舞台のようですが、本作は舞台をブラジルに設定。ブラジルの過酷な状況でもがき闘う少年達の姿を映し出すストーリーと言えば『シティ・オブ・ゴッド』を思い浮かべますが、同作の監督、フェルナンド・メイレレスが今回製作に加わっています。そのせいもあってか、本作はとてもリアリティがあり、死に直面しながらの生活に緊張感がありながら、ラテン特有の明るさと強さ、少年達の純粋さがあいまって、とてもバランス良く光と影が映し出されていました。ストーリーの構成としては、サスペンスと、ファンタジー・アドベンチャーが融合した感じ。そして、ところどころ入るちょっと変わった構成のシーンが新鮮さを感じさせます。実はそのシーンにはただそうやって撮っているだけではないカラクリがあるんですけどね。それは観てのお楽しみに。
俳優はマーティン・シーン、ルーニー・マーラが出演していますが他に有名な俳優は出ておらず、3人の少年達が主役で派手なキャストではありません。スティーヴン・ダルドリー監督は、少年3人のキャストを選ぶ際、演技経験がないことを条件にしたそうです。「本当にゴミ漁りしているように見える少年達をキャスティングする必要があった」からだそうですが、観る者を最初から最後まで引き込む少年達の演技はとても素晴らしかったです。丁寧に作られ、質の良さが随所にみえる本作。観終わった後には、心が洗われるような爽快感が待っています。どんなときでも心まで貧しくなってはいけないと、少年達が教えてくれる秀作です。
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デートで観るのにもオススメの一作です。恋愛の要素は一切ないので、ロマンチックなムードにはなりませんが、主人公の少年達のピュアな心に触れて、優しい気持ちになれる内容です。鑑賞後には、お互いの少年少女時代について語り合うのも良いでしょう。でも、実際に少年期に壮絶な体験をした可能性がある人は、本人が過去について話したがらない場合は、こちらから根掘り葉掘り聞くのはやめましょう。映画について語り合わなくても、ただ映画そのものを楽しむだけでも充分満足できる作品です。 |
キッズは高学年以上なら充分理解出来ると思うので、広く観て欲しい作品です。日本はモノが溢れているし、子どもが働かなくてはいけないような状況はほとんど見かけませんが、他の国ではこういう現状があることを知るきっかけにするだけでも意味のある映画だと思います。自分たちが困難な状況でも、正しいことをしようと闘う少年達の姿は立派です。辛いときにも自分のポリシーを持って何にも負けない強さを主人公たちから学べる映画です。 |