辛いとき、誰でもわが身を守ることで必死になります。でも、そんなときこそ人間力が試されるのでしょう。今回は、貧しく辛い環境のなか、自分だけでなく周囲に幸をもたらした者たちの物語をご紹介します。
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<3人の少年たちの強さ> |
拾った財布のなかにあったお金だけで満足せずに、そのなかにあった鍵が気になったラファエル。初めは好奇心だけだったかも知れませんが、地元の悪徳警察が必死でその財布を探していることを知り、彼は余計にその財布に何かがあると気付きます。財布を見つけたと名乗り出れば謝礼金をもらえて安全に解決できるチャンスを捨ててまで、ラファエルはその財布に託された秘密を探り出そうとします。ラファエルの友人ガルド、ラットもラファエルに協力し、身を危険にさらしてまで真相にたどり着こうと戦います。甘いささやきをされても、危ない目に遭わされても、目の前に大金があっても、決して私欲だけに走らない少年たち。自分たちの苦境を言い訳にせずに、仲間を大切にしながら、正しい行いを全うする彼らの強さゆえに、女神が微笑むのかも知れません。 |
バンクーバーの朝日
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<野球を愛した選手の思考> |
実話をもとに描かれた本作。勤勉勤労の日本人たちは、どんなに不当な悪環境でも耐えて真面目に働いていました。カナダに移住したことで、差別とも戦わなくてはいけなかった日本人たちは、進学も思うように行かなかったり、就職もままなりません。移住者たちの子どもたちは、日本へ帰る方が楽だと考える人もいたかも知れません。でも、親たちがカナダへ来たからこそ今自分たちがこうして野球ができるんだと感謝する者も。どんな苦境にいても、何か幸せな要素を見つけ出せる精神力。だからこそ、彼らの野球が、観る人々に希望を与えたのでしょう。 |
今回ご紹介した2作品とも、貧しいのは自分たちのせいではありません。それでも、主人公たちは環境や人のせいにすることなく、その場でできるだけのことをして戦っています。貧しく苦しい環境になっても、心は負けない。心まで貧しくなれば、希望も見出せません。とても難しいことですが、辛いときこそ自分が試されるとき。自分との戦いに勝てば、きっと光が見えてくると思います。
2015.1.13 TEXT by Myson