2016年6月25日より全国公開/R-15+
東映、日活
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『凶悪』の白石和彌が監督で、主演は綾野剛、そしてこのテーマと聞いて、とても期待して観ましたが、期待を裏切らない作品でした。本作はフィクションですが、本作で描かれている〈日本警察史上最大の不祥事〉は実話をもとにしており、モデルとなった北海道警察の実在の刑事による手記「恥さらし 北海道警 悪徳刑事の告白」(稲葉主昭著/講談社文庫)を原作にしています。こんなことが実際にあったなんて信じたくはないですが、警察は悪に一番近いところにいることを考えると、表沙汰になっていないだけで、似たようなことは他にももっとあるのだろうと想像ができます。また、警察官にとってのお手柄は悪を捕らえることなので、平和になりすぎると仕事が減って、個々が評価されるべき案件がなくなるということですよね。そのジレンマを解消するために野心のある人間が事件をでっちあげて這い上がろうとするわけですが、悪が存在しないと成り立たない職業というのは、大変皮肉だなと思います。『日本で一番悪い奴ら』というタイトルから、本当に一番悪い奴は誰なのかと考えながら観てしまうわけですが、主人公が抱える悪よりももっと根深い問題があることが暗示されていて、テーマの深さを感じました。とても見応えのある映画です。 |
女性問題も多く絡んでくる展開で濡れ場も多いため、デートで観るには気まずいと思います。また警察官と付き合っている方は、エンターテイメントだと割り切って鑑賞するのは難しそうなので、1人で観るか、友達と観に行くと良いでしょう。あと、警察官を毛嫌いしている人と観ても、鑑賞後の会話でストレスを感じそうなので、誘ったときの相手の反応で判断してはどうでしょうか? |
R-15なので、15歳以上になってから観ましょう。正義の味方のはずの警察官が誤った方向に暴走してしまうストーリーには、少々ショックを受けると思いますが、どんな世界にも道を踏み外してしまう人は少なからずいるということは、知っておいた方が良いと思います。私も小学生の頃だったか、父に「警察官にも悪い人はいる」と言われてショックを受けた記憶がありますが、大人になってからその意味がわかるようになりました。見た目や社会的な立場に関わらず、どんな相手でも、結局は自身の目で見極められるようになるべきだと思います。 |
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©2016「日本で一番悪い奴ら」製作委員会
2016.6.13 TEXT by Myson