2015年8月8日より全国公開
アスミック・エース、松竹
公式サイト
戦後70周年ということで、今年は多くの戦争映画が公開されていて、本作もそのうちの一つですが、本作の場合は、戦争終結に向けて尽力した人々の物語が綴られています。原作は半藤一利の小説で、すべてが実話というわけではありませんが、史実や実在の人物をもとにして描かれた作品となっています。登場人物が昭和天皇や内閣総理大臣などすごい方ばかりなので、専門用語がかなり飛び交いますが、ストーリー自体は専門用語や詳しい歴史を知らなくてもついていくことができます。 この作品を観て初めて知ったことはたくさんありましたが、特に驚いたのは、昭和の初期とはいえ江戸時代の侍のような精神が強く残っている部分です。責任を取るために自害し、それを知る人が周囲にいたとしても誰も止めないという状況は、今とはかなり違うと思いました。また、戦争を終結せずにそのまま戦い続けたい(=本土決戦)という若い兵士たちの熱意と、クーデターまで起こしてしまうパワーはものすごいものだと感じました。彼らにとっては、国のために命懸けで戦ってきたのに、いきなり戦争をやめることがいかに苦しいことであるのかが伝わってきました。もし本土決戦があったら、今の日本はないので彼らに完全に共感することができませんでしたが、いろいろな人の思いがあってこそ今に至ることがよくわかりました。 役所広司、本木雅弘、堤真一、山蕪wなど蒼々たるメンツが揃った作品で、それぞれが安定感ある演技を見せていて、物語も見応えたっぷりの作品です。戦争映画は、人によって捉え方や感じ方が違うかも知れませんが、ぜひご自身の感覚で観て、戦争について考えてもらえたらと思います。 |
戦争映画なので、お互いに興味があるテーマならデートで観ても良いと思いますが、人によって考え方がそれぞれだと思うので、相手に気兼ねせず観たいのであれば、一人で観ることをオススメします。本作は、戦争終結にまつわる物語が描かれていて、天皇や総理大臣など偉い人たちが集まる会議のようなシーンもあり、たくさんの思惑がその背後に見え隠れしています。そういうところからは、現代とは大きく違う人間性をたくさん観ることができるので、ぜひいろいろな人物を細かく観察しながら、戦争という大きなテーマについて考えてみてください。 |
若い世代に戦争を知ってもらうことは大切ですが、本作の場合は、会議のような話し合いのシーンや専門用語が多いので、キッズは歴史で戦争のことを勉強してから観てください。ティーンは、歴史の勉強を思い出しながら観て、わからない用語は映画を観終わってから調べましょう。登場人物のなかには、戦争を続行したい人もいれば、終結したい人もいるので、すごく複雑な気持ちになるかも知れません。でもそういう気持ちも含めて、改めて戦争について考えてみることが大切なことだと思います。 |
関連記事:
■TJE Selection イイ男セレクション/役所広司
■TJE Selection イイ男セレクション/本木雅弘
■TJE Selection イイ男セレクション/松坂桃李
■完成報告会見、役所広司、本木雅弘、松坂桃李、堤真一、原田眞人監督
©2015「日本のいちばん長い日」製作委員会
2015.8.03 TEXT by Shamy