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ノクターナル・アニマルズ

2017年11月3日より全国公開／PG-12
ビターズ・エンド、パルコ
公式サイト

冒頭から度肝を抜かれる演出があり、シーンのあちらこちらに絵画的で強烈な美しいシーンが散りばめられていて、トム・フォード監督でなければ成立していないと思うような独自の芸術性を感じました。一見こういった作品は小難しい印象を与えますが、ここで描かれる絵画的なシーンは、ただ奇抜なだけではなく、エイミー・アダムスが演じる主人公スーザンが住む世界のストーリーと対比的な意味を持っているようで、作品が何を訴えたいのか探る上で手がかりになります。ジェイク・ギレンホールが演じるスーザンの元夫エドワードが書いた本のストーリーと、スーザンの実際の生活が絡み合うように描かれていきますが、それが何を意味するのかも、そういったインパクトのあるシーンがヒントになっています。私もスーザンと一緒に、エドワードの本を読んでいるような感覚に陥りましたが、とても意地悪なラストにハッとさせられました。でも、こういう意地悪さ、皮肉さこそ、本作の魅力！
主演のエイミー・アダムス、ジェイク・ギレンホールほか、マイケル・シャノン、アーロン・テイラー=ジョンソン、アイラ・フィッシャー、アーミー・ハマー、ローラ・リニー、マイケル・シーンとキャストの豪華さも半端ないので、映画ファン必見です。

極端な言い方をすると、心で好きな相手ではなく、条件で好きな相手を選んだ女性の物語なので、カップルで観ると気まずくなりそうな気がします。さらに、自分の恋愛についてそういう自覚がない女性が主人公なので、本作を観ることで自分を客観視することになり、いろんな意味で心が痛むかも知れません。…といった内容なので、一人でじっくり観るか、仲の良い友達を誘いましょう。

PG-12なので、12歳未満、小学生以下の人が観るなら、大人の同伴が必要ですが、そもそも大人向けの内容で、子どもが観てもまだピンとこないと思うので、大きくなって興味があったら観れば良いと思います。高校生、大学生など、恋愛が身近になり、将来のことも具体的に考える年頃の人には、理解できる点があるでしょう。

2017.10.25　TEXT by Myson