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フューリー

2014年11月28日より全国公開
KADOKAWA
公式サイト　　　

本作は、フューリーという愛称が付けられた戦車に乗る5人の兵士の１日を描いています。たった1日のできごととは思えないほどにドラマチックで、5人それぞれのキャラクターにドラマがあります。先日来日したブラッド・ピットとローガン・ラーマンの会見でのお話では、5人のキャストは4ヶ月の訓練を受けたそうで、実際の戦車を使って行ったとのこと。撮影のための訓練とはいえ、精神的にも身体的にも追い込んで役作りに励んだようです。戦車のなかにいても危険がたくさんあり、常に死と隣り合わせで、人間らしい生活など望めないということがシーンから伝わってきますが、これも実際の戦車を使って訓練した賜物ですね。とてもリアリティに溢れていました。
一番印象に残ったシーンは食卓のシーン。戦時中の狂気に満ちた状況のなかで、5人の兵士がそれぞれの価値観をぶつけ合います。過酷な現実から心を解放する術を持てずにいるメンバーや、一時でも人間らしさを取り戻そうと心がけるメンバー。彼らの行為を肯定するとかしないとか考える以前に、戦場で人間らしさを保つのはいかに難しいかを痛感させられました。戦車隊にフォーカスしたストーリーというと激しい戦闘シーンばかりをイメージしてしまうかも知れませんが、このシーンに象徴されるように、観てみると兵士同士の会話、やりとりによりフォーカスされています。主役はブラッド・ピットですが、もう一人の主役はローガン・ラーマンとも言えて、新しくフューリーの仲間になった若き兵士が、過酷な1日を過ごすことで成長していく姿も印象的です。ほか、シャイア・ラブーフ、マイケル・ペーニャ、ジョン・バーンサルも含めた5人ともとても素晴らしい演技を見せていますので、ぜひ人間ドラマとして女子にも観て欲しいと思います。

元軍人のデヴィッド・エアー監督が描いただけあって、かなりリアルです。痛々しいシーンも多々出てきますので、苦手な人もいると思います。デート向きとは言えませんが、内容はかなり見応えがあり、アクションシーンばかりというわけでもなく、人間ドラマの要素が多いので、二人とも興味があるなら観に行っても良いと思います。少しだけ男女のやりとりも出てきますが、今自分たちが恋をすることができている状況を有り難く思うはず。生ぬるい毎日を過ごしている彼氏なら連れて行っても良いかも知れませんね。

リアルな戦闘シーンはキッズには少々刺激が強いかも知れません。ティーンはローガン・ラーマンが演じる新米兵士と同じような感覚で観てみると良いのではないでしょうか。毎日当たり前に平和に暮らせていることがいかに有り難いことか実感できると思いますし、この映画のような状況になったとき自分ならどうするか想像すれば、人の命の重さについてや、自分の価値観、人生観を考えるきっかけになると思います。

2014.11.19　TEXT by Myson