原作を読んだことがないのでオリジナルの世界観を知らずに観ましたが、主人公の日々沼拓郎のキャラクターには少々驚きました。始めから最後までほぼずっと腰をかがめていましたが、主人公を演じた野村周平は結構大変だったでしょうね。コミックで観るとまた違った印象になるのかも知れませんが、生身の人間が終始ああいう状態だとロック・シンガーというよりは“江頭2:50”的な人に見えて仕方がありませんでした(笑)。それはともかく、本作は一本筋通して“音楽LOVE”ということはすごく伝わってきました。あのしみったれたライブハウスの雰囲気とか、売れずにふつふつしているバンドたちの垢抜け無さもすごくリアル。大好きなことがあって、それで成功しようともがいている人には共感できるポイントがいくつもあると思いましたが、一番印象的だったのは、売れっ子プロデューサーに日々沼がなぜ音楽をやりたいのか聞かれるところです。彼はその質問に対する答えをはっきり持っているのかどうかは映画を観て頂くとして、何かに一生懸命になれること自体がとても貴重なことだと感じられる作品でした。バンドに詳しい方は、劇中に使われる楽曲などに注目するとより楽しめると思います。 |
正直なところ世界観が濃いので、好き嫌いは分かれそうですが、誰にでも楽しめるわかりやすいストーリーで、ほどほどの笑いと最後には感動もあり、観やすいと思います。主人公たちと同じような境遇の人ならどっぷり感情移入してしまうかも知れませんが、基本的にはカラッと楽しく観られる作品なので、気軽なデートの日のメニューに加えるには良いでしょう。野村周平が演じている主人公の日々沼は歌っているあいだにヌードになることがありますが、大事なところはちゃんとギターで隠れているので気まずくなることはないですよ(笑)。 |
ティーンの皆さんは進路を考え始めるお年頃なので、主人公たちの心境がわかる部分、彼らに共感する部分がいろいろあると思います。一方で、二階堂ふみが演じるアイドルを観てもわかりますが、世の中は彼女がスターであることを羨ましがりますが、本人がなりたいと思っているイメージと一緒ではないという点にも注目して観て欲しいと思います。簡単に夢は成功しないかも知れないけれど、“自分はどうしたいのか”をまず知ることが大切だと感じられるでしょう。 |