2014年12月20日より全国公開(11月15日より山口県内先行上映)/R-15
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32歳で引きこもりの主人公、一子の目覚めと成長を描いた本作。女を捨てている冒頭の一子から、徐々に開花していく一子まで、安藤サクラが好演。やっぱりこの女優さんはいつ観てもおもしろい。本当にその辺にいそうなこういう役って一番難しいと思うんですよね。“普通の人に見えるけど映画的にはスクリーンで映えなければいけない”というバランスをすごく上手に演じる人だと思います。本作に関しては、不細工になったり、ちょっと可愛くなったり、見た目ではなく、人間的に醸し出す雰囲気で演じ分けられる彼女は凄いと思います。そして本作はボクシングが重要ポイントとなっていますが、安藤サクラ、新井浩文の両者ともかなり身体を絞っていて役作りに励んでいるのがわかります。役者としてもストイックなイメージがある2人でしたが、やっぱり期待通りでさすがです。この2人の掛け合いがとてもシュールでユーモラスで絶妙な共演ぶりでした。 女子目線では、新井浩文が演じる狩野が一子に投げかける一言一言が、せっかく恋に目覚めた乙女心にグサグサくる内容で笑えましたが、恋愛で一子と同じようなシチュエーションにいる女子が観たら、ちょっと心が痛くなるかも知れませんが、客観視できて良いですよ。その恋が結果的にどうなろうと、恋愛は女を綺麗に、そして強くするというテーマの本作。恋を諦めた女子、恋に破れて立ち直れないでいる女子に特に観て欲しいです! |
ヌードも映るラブシーンはありますが、よっぽど過敏に意識する人でない限り気まずくなるほどではありません。順調なカップルは一緒に観ても良いと思いますが、不器用な男女の恋愛がリアルに描かれていて、一子の成長のなかでどの状況に自分が近いかによって、本作からどんなメッセージを感じ取るかも変わってきそうです。今恋愛にもがいているとしたら、その恋を貫くべきか、別の恋を探すべきか、ヒントを得られる可能性があるので、恋愛関係が微妙な状態の人は一人で観るか、女子同士で行く方が良いのではと思います。 |
R-15なので、15歳未満の人は観られません。主人公は32歳無職でひきこもりの女性ですが、15歳以上のティーンの皆さんが観ても充分に理解できる内容です。前半は反面教師として観て、後半はお手本として観られる展開があります。きっかけは何でも良いから興味を持つことは良いことだし、辛いことがあっても悔しさをバネにすれば人間的に強くなれるということをぜひ観て欲しいと思います。人の美しさは内面からくるというのも何となくわかるでしょう。主人公、一子、狩野の変化をよくよく観察してみましょう。 |
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2014.12.1 TEXT by Myson