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『百円の恋』R-15 2014年12月20日より全国公開 ©2014東映ビデオ |
『百円の恋』 |
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32歳で引きこもりの一子は、女子力0で恋愛に興味もない様子。でも、ある日突然実家を出ることになり、一人暮らしを始めた一子は、アルバイト先への通り道でボクシング・ジムにいる狩野を見かけ、惹かれていきます。二人は何気なくつきあっているような状況になりますが、本心か照れなのか、甘えた素振りや優しさを見せる一子に、女房気取りはするなと冷たく放ちます。そんな彼の真意とは…。 |
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急に恋愛に目覚めて乙女心が開花した一子は、わかりやすくときめいています。しかも恋愛に慣れていないため、肉体関係があれば真剣交際に発展したと思っても仕方がないでしょう。なので急に馴れ馴れしいと思った狩野が一子に放つ言葉はある意味ごもっともで、二人の距離の詰め方、ペースの問題もあると思います。ただ、狩野はボクシングも仕事もぱっとしない状況で、やるせない気持ちで押しつぶされそうになっています。そういう状況も見えてくると、急接近した途端に冷たく突き放された一子のせいだけではないようにも思えます。今の狩野は精神的にキャパシティオーバー。そんなときに彼女だけウキウキしていたり、急に彼女面、女房気取りをしてきたら、重たい、鬱陶しいと思ってしまうのも無理はありません。自分の心の隙間は埋めて欲しいけれど、相手の気持ちまで満たしてあげる器量は今彼にないだけなのかも知れません。こういう場合、彼の器が根本的に小さいのか、一時的に小さくなっているのか見極めなければいけません。出会ったばかりだと、どちらかわかりづらいかも知れませんが、焦らずに少し距離を保ちつつ見守るのが良いのではないでしょうか。相手のペースに合わせられる余裕がこちらにあるなら、無理に今距離を詰めなくても、時期がくればお互いに心地良い距離になれるかも知れません。 |
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TEXT by Myson