2014年12月20日より全国公開
東宝
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とても切ないけれど、日本人の良さを実感させられるステキな映画でした。戦前にカナダへ移住した日本人がいたこともあまり知らなかったので、彼らが厳しい環境の中で人種差別を受けながら生き抜いた物語に衝撃を受けました。それでも負けずに、逃げずにその場所で生きていこうとする日本人の忍耐強さ、たとえ不当な扱いを受けていても相手に対して従順で真面目に接する姿は誇りに思えます。そこに野球というスポーツが絡んでくることによって、日本人だけではなく、スポーツマン精神という概念も入ってきて、世界が戦争中だろうと平和だろうと、身分や生まれた国、肌の色が違っても、スポーツという共通のコミュニケーション方法でお互いに歩み寄ることができるというメッセージは心に響きました。実話がベースだからもありますが、夢物語としてでなく、きちんと現実の苦さも描いている点が良かったし、それがいかに当時が厳しい時代だったかを物語っています。 フジテレビ開局55周年記念作品ということもあり、かなり豪華キャストで、こういう場合、キャストの豪華さだけに頼ってしまっている印象になる可能性もありますが、本作は主要キャストがとても良い芝居をして、映画そのものの質の高さを感じます。知られざる日本人の歴史、ぜひ皆さんも目に焼き付けてください。 |
ラブストーリーの要素はないのでロマンチックになるような映画ではありませんが、見応えがある人間ドラマなので、どんなカップルが観ても楽しめます。前半は爽やかで、後半は切ないけれど、救いがあるストーリーなので、2人のムードが悪くなることもありません。派手派手しいエンタメ映画には見えないかも知れませんが、フジテレビ開局55周年記念作品だけあって、キャストがかなり豪華です。野球の話ですが、特に野球が好き、詳しいというのでなくても楽しめます。他の候補作品が極端過ぎて選べない場合、これなら失敗ということは無いでしょう。 |
ぜひキッズやティーンの皆さんにも知っておいて欲しい日本の歴史が描かれています。そして、登場するキャラクターたちはティーンの皆さんに近い世代なので、学業、進学、就職の話題は、時代や国は違えど、感情移入して観ることができると思います。また、どんなに辛い境遇、自分たちが不利な状況でも、スポーツマンシップを忘れない主人公たちの姿をぜひお手本にして欲しいと思います。本作を観て、日本人ってステキだなと、自分のアイデンティティーに誇りを持ってもらえたら嬉しいです。 |
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2014.12.18 TEXT by Myson