2016年1月9日より全国公開/PG-12
アスミック・エース
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本作は、人気作家でユダヤ人のイレーヌ・レミロフスキーが、第二次大戦勃発でアウシュヴィッツに収容される前に書き残していた小説を、実の娘が60年以上経った後に公開して大反響を呼び、全世界350万部のベストセラーとなった作品を映画化したもの。物語の舞台は1940年、フランス中部にあるビュシーという町で、同年6月3日にパリがドイツから爆撃を受けたあと、多くの人がその町に流れ込み、同時にドイツの支配も強くなる様子が描かれています。ドイツ占領下に置かれたビュシーに住むリュシルと、彼女の家に住むことになるドイツ兵士ブルーノのラブストーリーが主軸となっているのですが、根本に流れているのはやはり戦争が人間を狂わせてしまうという点で、人間ドラマの要素が強い作品。「禁断の恋って素敵だわ〜」なんてのんきに観られるタイプの恋愛映画とは異なります。でも、そんな状況の中で描かれる2人のシーンはとてもロマンチックで、抑制された感情ゆえに胸キュンも倍増。マティアス・スーナールツが演じる紳士的な兵士が奏でるピアノも切なさを引き立てます。マティアス・スーナールツは、マリオン・コティヤールと共演した『君と歩く世界』を観てから注目していますが、とても存在感と雰囲気がある俳優で、今回の強さと弱さを兼ね備えた役も見事に演じていました。これからの活躍も期待できる俳優なので、ぜひ注目してください。その他、主演のミシェル・ウィリアムズをはじめ、ウィル・スミス主演『フォーカス』でキュートなヒロインを演じていたマーゴット・ロビー、『ピエロがお前を嘲笑う』のトム・シリング、名優クリスティン・スコット・トーマスなど、実力派俳優がたくさん出ているので、映画好きは観て損は無いですよ。 |
禁断の愛を描いたラブストーリーとはいえ、根幹は戦争映画なので、ラブラブなムードになることを期待して観ると、意図とはずれてしまうでしょう。逆に内容的にはプラトニックなので、気まずくなるようなシーンがない点で、デートで観やすいとも言えます。友達以上恋人未満のカップルは、普通に恋愛できる時代に生まれたことに感謝して、「自分達は堂々と恋愛して良いんだ」と、一歩前進できれば良いですね。 |
PG-12なので12歳未満のキッズは大人と一緒に観ることをオススメします。一見ラブストーリーですが、戦争にまつわる人間ドラマの部分が深く描かれています。他国の兵士の支配下で命の危険を感じながら暮らすということがどういうことなのか、人それぞれにその状況を生き抜くためにどういう策をとるのかなど、人間観察をしてみるのも有意義だと思います。 |
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2016.1.6 TEXT by Myson