2016年10月8日より全国公開
エレファントハウス、カルチャヴィル
公式サイト
「人間はカルマから逃れられない」という絶望が描かれつつ、受け取り方や誰の視点で観るのかによってはある種のハッピーエンドにも解釈できる、とても意地悪な映画で、個人的にこういうストーリーはとても好きです。感情移入する相手が観ていてどんどん変わってしまい、最後にそれも全部吹き飛ばされてしまう衝撃のラスト。映画だからこそ、こういう救われない話は存分に楽しめるのだと思える満足感が得られました。浅野忠信の演技もサイコーで、突如ちらっと心理をのぞかせる絶妙な演技にゾクッとさせられます。ほか、筒井真理子、古舘寛治など演技派俳優達の演技も繊細で、人間関係の微妙な変容がリアルに感じられました。原作、監督、脚本、編集の深田晃司(1980年生まれ)は、20代の頃から海外の映画祭でも評価されており、本作はカンヌ映画祭にも出品されました。以前は平田オリザが主宰の劇団“青年団”の演出部にいたこともあるそうで、平田オリザ原作の「さようなら」の映画化作品も深田監督でしたが、演劇に興味がある人達にもオススメです。 |
いろいろな要素からしてデートで観るのには不向きな内容です。1人でじっくり観るか、同性の映画好きな友達と観ることをオススメします。いろいろなタイプの映画を一緒に観慣れているカップルならオーケーだと思いますが、秘密を抱えている状況だと、落ちついて観られない展開になってきますので、要注意です。 |
内容的に、観るとしても高校生以上が良いのではないかと思います。大人達が犯してきた罪によって掻き回される人間関係が描かれたストーリーは、反面教師となる内容なので、この作品を観たティーンの皆さんは、こんなことにならない人生を送ってください(苦笑)。 |
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2016.9.27 TEXT by Myson