2015年11月28日より全国順次公開
アスミック・エース
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タイトルから何となくどんなストーリーかは想像できつつも、発明好きの主人公ヨヘスケルが、老人ホームに住む仲間にカワイイいたずらをしているシーンから始まる本作が、まさか安楽死についてのストーリーだとは思わず、その後の展開に驚きました。一人のおじいちゃんの発明技術が、延命措置に苦しむ友人の安楽死を手伝うことに繋がり、その噂を聞きつけた老人たちが、“助け”を求めていき…という連鎖。「死にたい」「死なせてあげたい」という思う心情は、今の私には想像し難いですが、いつか自分もこういうことに向き合わなければいけないときが来るかも知れないと思うと、やるせなくなります。本作を観ていると、「死ぬこと=生きることをやめる」ということではなく、「どういう生き方で人生を終えるのか」ということなんだと実感します。そして、人生を終わりにする判断が容易ではないのは、人は一人で生きているのではないからだということもわかります。自分はどんな最期を選ぶのか、それはどう生きるのかという価値観にも通じると思うと、こういう映画をきっかけに、どんな年齢でもときに考えてみるのは有意義だなと思います。死があるからこそ、生があり、生き方を選択するのが重要であるように、どういう死を迎えるかを決めることができるのも大切なことですね。おじいちゃん、おばあちゃんが、死に直面しながらも、ユーモアで仲間を元気づけるシーンなども心に響く一作です。 |
ぱっと見の印象からは癒し系の映画かなと思うでしょうが、扱うテーマはかなり深く、その人の価値観を問う内容なので、デートで観るなら一生を共にしようと思える本命と観て欲しい一作です。若いカップルには、まだ先のことだと思えてしまうかも知れませんが、今の自分たちにはわからない感覚だからこそ、映画から学べるところは多く、お互いの価値観を知る上で良い題材となる作品だと思います。 |
キッズは安楽死という概念を理解してから観た方が良いので、もう少し大人になってから観ると良いでしょう。ティーンの皆さんは、主人公や周囲の老人たちの心情をまだ理解できなくても、人間が生きていく上で、こういう状況になる可能性があるという事実を今知ることは無駄にはなりません。どうして自ら死を選ぶ老人がいるのかを知ることで、逆に死にたいと思わずに生きられる若さと健康がいかに有り難いことかを実感できたら良いと思います。 |
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2015.11.24 TEXT by Myson