2017年2月25日より全国順次公開
パンドラ
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ある日突然、交通事故で最愛の人を失った2人の男女の深い悲しみと、心の再生を描くヒューマン・ドラマです。台湾のトム・リン監督が自身の妻を亡くした経験を基に執筆した脚本は、どこまでも繊細に主人公達の感情に寄り添い、行き場のない喪失感と空虚な感情をスクリーンに映し出します。タイトルにもなっている“百日告別”とは故人の死を受け入れるための仏式の儀式で、初七日、四十九日を経て、百日目には涙を流すのをやめて悲しみを手離すという意味があるそうですが、悲しみを手離すことなど想像もできないほど辛い日々のなかで、主人公のシンミンとユーウェイが少しずつ現実と向かい合っていく姿がとてもリアルで胸を締め付けます。2人の再生を祈るような気持ちで本作を観賞しましたが、決して暗い映画ではありません。作品を彩る美しい映像と音楽が悲しみを包み込み、切なさと同時に、愛し合うことの喜びと命ある時間の素晴らしさを感じさせてくれる作品でもあります。 |
今、隣にいるパートナーのありがたさや、一緒にいる時間の尊さを再認識できる作品です。お互いの存在が当たり前過ぎて、ときめきを失いつつあるカップルは、その“当たり前”がどれほど幸せなことかをきっと痛感するでしょう。過去に愛する人を亡くした経験のある方にとっては辛いシーンもあるかも知れませんが、観賞後に残る余韻はきっと温かく穏やかなものだと思います。シンミンの傷付いた心を癒す沖縄の風景や人々の方言もとても温かく、カップルで沖縄旅行に出掛けたくなるかも知れません。 |
キッズやティーンの皆さんには、愛する人の不在に身がちぎれるような思いをするというのはまだピンとこないかも知れませんが、誰かを深く愛する年頃になったら、ぜひ観ていただきたい作品です。もし、すでに大切な人の死を経験しているというキッズやティーンも、いつか大人になってこの作品を観たときに、きっと輝く思い出とともに過去を振り返ることができると思います。 |
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■トム・リン監督インタビュー
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2017.2.20 TEXT by min