2017年3月10日より全国順次公開
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テレンス・マリックが40年の集大成として創り上げた本作は、なんと宇宙誕生の姿から現代までを描いた壮大なもの。余計な説明を入れずに、詩的なナレーションのみで綴っている本作は、とても抽象的で、一見難解に思えますが、感覚で味わえばとてもシンプルなストーリーとも取れます。ネイチャー・ドキュメンタリーとして観ても楽しめますが、宇宙の誕生から描かれているわけですから、全部が今実在して撮影できるわけではありません。でも、先日プロデューサーのソフォクレス・タシオリスさんにインタビューしたところ、それぞれの分野のスペシャリストに協力してもらって、映像化したそうです。なので、本当は観られるはずもない宇宙、地球の歴史を、本作を観て辿ることができるんです。その光景はあまりにも壮大で美しく、圧倒されるのですが、詩的なナレーションが哲学的な問いを投げかけてくるので、風景に浸るというよりは、脳内で思考が刺激されるような感覚になりました。宇宙とは、地球とは、生命とは、人間とは…。人間が生きているあいだに問い続けている答えに、テレンス・マリック監督はもしかしたらたどり着いたのかも知れない、そう思える神秘的な作品です。 |
正直なところわかりやすい映画ではないので、デートで観ようと提案する際は相手を選ぶ必要があると思います。映画を観たあとに明確なメッセージを受け取れないと満足できない人は誘わないでおきましょう。哲学が好きなカップルはぜひ観て、それぞれの感想、解釈を述べ合うときっと盛り上がるはず。一度観るだけではかみ砕けない部分もあるので、一緒に何回も観るというのもアリでしょう。 |
どっぷり哲学的に観るなら大人向けの作品に思えますが、感覚で味わうタイプの映画とも言えるので、頭の柔らかいキッズやティーンの皆さんが観ると、大人とは違った楽しみ方ができるのかも知れませんね。ただ、ファミリー向けに作られているネイチャー・ドキュメンタリーとは一線を画すので、「なんで、こういう構成なの?」と思わせる抽象的なシーンには戸惑うかも知れません。 |
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■ソフォクレス・タシオリスさん(プロデューサー)インタビュー
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2017.2.27 TEXT by Myson