2014年12月6日より全国公開/R-18
武蔵野エンタテインメント
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キム・ギドク監督は、いつも何かやってくれますが、今回も期待通りでした。今回特筆すべきはまずセリフが一切ないということ。セリフで状況説明してしまうという逃げは一切できないので、脚本の力と役者の演技が特に試されるわけですが、83分のドラマは人間の激情で満ち溢れていて、ガンガン心に響きます。冒頭から恐ろしい展開で目を離す暇もありません。セリフがないから退屈ということも一切ありません。一つの家族、そして取り巻く人々の運命が翻弄され、負の因果が巡り、ここから抜け出す術はないのかと、観ているこちらも絶望で終わるのを覚悟するのですが、最後に不思議な解放感を味わわせてくれる絶妙な展開には圧巻でした。役者の演技も本当に素晴らしいんですよね。こういうパンチのある、腹の底から湧き出してくるような人間臭さとエネルギーは、韓国俳優独特のものなんでしょうか。どちらが優れているという話ではありませんが、日本人にはマネできない何かを感じます。 それにしても、やっぱりキム・ギドクが描く世界はクレイジーですね。こんなお話、どうやって思いつくのかといつも驚かされますが、本作は恐怖と笑いが紙一重で「怖いけど、可笑しい」という不思議な感覚がたまりません。人間の性、家族の性、男女の性を描いた本作。観て損はありません。 |
これは絶対にデートで観てはいけないですよ(笑)。“全てにおいてデート向きではない映画”と潔く言えるほど強烈で、男子は特に震え上がる内容です。女子も、自分が劇中の女と同じようにすることは絶対にないにしても、女の怖さを描いた内容に少々肩身の狭い思いをする可能性があります。でも、敢えて一緒に連れて行くとするなら、女癖の悪い彼氏や旦那さんですかね。何度も同じ過ちを犯しているような軽率な男には、本作を見せてお灸をすえてやりましょう。 |
R-18なので、キッズや18歳未満のティーンは観られません。18歳以上で観られるティーンの皆さんも、覚悟が必要です。特に男子は想像するだけでもおぞましい展開に震え上がることでしょう。ホラーなどの怖さとは違う、日常にありそうな展開がさらに恐ろしさを煽るのですが、これから男女のいろいろを経験するであろうティーンの皆さんには、ある意味勉強にはなるかも知れませんけどね(笑)。 |
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2014.11.22 TEXT by Myson