国語辞典(改訂新版 旺文社刊)によると、業【ごう】とは、「未来に善悪の報いをもたらす行為。特に現在の災いの原因をなす過去の悪行」とあります。今回は業に翻弄される人々を描いた作品をご紹介します。あなたは「うちの家族は○■△×だから、私もきっとそうだ」など、業に取り憑かれていませんか?果たして、人は業に取り憑かれたら二度と逃れられないのでしょうか?映画を観て考えてみましょう。
ツイートメビウス
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<この家族に巡る業【ごう】> |
性器を切り取るというあまりにも衝撃的な行動に出た母。その相手が夫なら自業自得とも言えますが、なぜ息子を狙ったのか最初は不思議に思いますよね。でも、観ているうちに“血筋”というか、父の良からぬ血を息子が受け継ぐことだけは避けたかったのではないかと思いました。皮肉にも、それは性器を切り取るという方法だけですぐに終わる話ではないことが明らかになっていきますが、ここでキーとなってくるのは、性的快楽。性器を失った息子が今後どうやって性的快楽を得ていくのか、息子の人生のために父はいろいろと策を考えます。結局のところ、罪を犯すのは“物体”だけの話ではなく、人間のする“行為”。そしてその業は男だけではなく女にも関係しており、彼らがその業から逃れられるのかどうか、その答えは結末にあります。 |
マップ・トゥ・ザ・スターズ
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<この家族に巡る業【ごう】> |
ネタバレになるので、この家族にどんな業があるのかはふせますが、それがアガサが施設に入れられてしまった経緯と徐々にリンクしていきます。アガサがある事実を知ってしまったがために、彼女はその業に取り憑かれてしまったのですが、自らその闇に陥っていったと言っても良いでしょう。業から逃れられるかどうか以前に、業に囚われてしまい逃げ出そうともしない状況になっているのです。業から逃げられないのは、こういった状態に陥っているからなのですが、彼女の場合は考えを切り替えられるかどうかが運命の分かれ道。結果、彼女が業から逃れられたかどうかは、観た人の解釈に寄るところとなります。 |
私の結論としては、最終的には当人の考え方次第で「業から逃れられる!」と思います。業に取り憑かれてしまうのも自分の意志が及ばせたことであって、そこから逃れようとする意志があれば、良い方法が見つかるはずです。
2014.12.8 TEXT by Myson