2015年2月28日より全国公開
ティ・ジョイ/配給協力:東映
公式サイト
ももいろクローバーZ主演、本広克行監督という要素だけだったら、私は正直それほど興味を持たなかったかも知れません。でも、日本の演劇界を引っ張る劇作家、演出家である平田オリザの小説を原作にした映画だということで、すごく興味が湧きました。なぜなら、平田オリザが書いたストーリーを映画化するならば、ただのアイドル映画で終わるはずがないと思ったからです。そして期待通り、この映画はアイドル映画ではなく、アイドルがちゃんと女優として演じている青春映画になっていました。映画公式サイトにある平田オリザ自身のコメントにも、ももクロが主演と聞いて期待と不安が半々だったとありますが、平田オリザの戯曲や、彼が演出した舞台を観たことがある人なら、彼が書いた物語を演技の経験が浅いアイドルが演じるのは難しいのではないかと思うはず。私も実際にそうでした。でも、観てみると、物語のなかで本気で演劇に打ち込む女子高生たちのキャラクターは、今回本気の演技に挑んだももクロたちの境遇とも重なる部分が感じられ、週末ヒロインとしてキャリアをスタートさせた彼女たちの良い意味でのフツーっぽさや、誰にも負けない元気良さというももクロの本来の持ち味がイメージにピッタリきていて、すごくリアリティに溢れた作品に仕上がっていました。個人的にもいろいろな部分で自分のルーツや、体験したことのある感情とリンクする部分があり、いろいろ込み上げて何度もウルウルきちゃいました。 |
ラブストーリーではないので、逆にどんなカップルでも観やすい内容です。そして、とても前向きでピュアな気持ちになれる物語なので、ロマンチックなムードでなくとも、心地よい爽やかなムードになれます。どちらかが何かうまくいかないことがあって悩んでいるときに観に行くのにも良いでしょう。安易なサクセスストーリーというのでもなく、未来に不安と希望を抱えた少女たちの等身大の姿が描かれているので、気負うことなく、シンプルに元気と勇気をもらえます。アイドル映画だという先入観は捨てて、ももクロのファンかどうかは関係なく、良作な邦画として選択肢の一つに入れてください。 |
まだこういう体験は先になるかも知れませんが、キッズでも高学年ならちゃんと感情移入して観られると思います。入口はももクロのファンだからというのでもかまいません。キッズはとにかく感じるままに観てみるというので良いと思います。ティーンの皆さんには特に観て欲しい一作です。皆さんはまだまだ若いから可能性がいっぱいあると言われると思いますが、逆に先が見えない部分も多くて不安もありますよね。本作はその複雑な感情をとてもリアルに描いていて、同じような思いを抱える主人公たちがどういう選択をするのか、とても参考になると思います。自分の将来は自分で決める、でもそれは自分の未来に責任を持つということでもあります。これから大人になっていく皆さんに良い刺激になると思いますよ。 |
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2015.2.9 TEXT by Myson