2014年9月27日より全国公開
松竹
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恐怖漫画の巨匠、楳図かずおが77歳(撮影当時/2014年9月16日現在で78歳)にして映画監督デビューした本作。監督の自叙伝的要素はありつつ、観ているといつの間にやら創造された不可思議な世界に連れて行かれるので、現実と幻想の境目はわかりません。この辺りが監督が漫画でも描いていた楳図ワールドに通じる部分なのかも知れませんね。現実と非現実の合間にある得体の知れない恐怖が描かれていると同時に、恐怖とユーモアも共存しています。ホラー的な怖さだけでなく、人間の狂気が描かれている点でもゾッとしましたが、逆にそういうドラマ性は単純にホラーとして観るのとは違うオモシロさがあります。少々ハチャメチャ感はありますが、そこは漫画的世界観からくるものにも思えます。それにしても、77歳で新しいことにチャレンジするエネルギーが凄いし、その人生経験とクリエイターとしての核があるからこそ生み出されたこの世界観は、オリジナリティがあり、何よりも人を楽しませたいという監督の思いが伝わってきました。監督の実年齢には関係ない人間としての若さとエネルギーを感じさせてくれる作品です(私ごときが生意気な表現で恐縮ですが・笑)。 |
ホラーは苦手という人にも耐えうる描写なので、お化け屋敷に行く感覚で気楽に観ると良いでしょう。映画で楳図かずおワールドが気に入ったら、漫画を読みにまんが喫茶にデートに行っても良いですね。逆に先に楳図かずおの漫画を何か読んでみてから、映画を観るのも良いかも知れません。監督の自叙伝的作品と言われていますが、全部が事実というわけではありません。ただ、霊感が強い方を誘うとこういう映画にどう反応するかわからずリアルに怖いことを言ってくる可能性があるので、その辺は一応確認してから誘いましょう。 |
楳図かずおの漫画は子どもにも人気なので、もともと漫画の世界観が好きなキッズやティーンは大丈夫だと思いますが、やはり漫画と実写映画ではだいぶ印象が変わると思います。なので実写で描かれる怖いシーンは、キッズにとって想像以上に怖いと感じさせる可能性はあります。ティーンは実写でも耐えうる怖さだと思いますが、劇中の楳図かずおの母に起こるできごとはお化けなどの怖さとは違う怖さがあるので、その辺は覚悟して観ましょう。 |
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2014.9.17 TEXT by Myson