2016年5月13日より全国公開/PG-12
吉本興業
公式サイト
2016年は、ウィリアム・シェイクスピア没後400年だそうです。シェイクスピアが遺した数々の名作が、長く広く語り継がれ愛されてきた理由は、どんな時代、どんな世界に生きる人間にとっても、普遍的なテーマを扱っているからだと思うのですが、マクベスのストーリーも私たちの日常に置きかえられる、誰にでも起こりうるストーリーだと思います。主人公マクベスは、“将来、王になる”という魔女の予言に惑わされ、人生を狂わせていきますが、それが自分が望む結果で、さらに叶うと約束されれば、誰でもそのゴールに向かって突っ走ることでしょう。でも、予言を信じて行動したがために、自分を危機に陥れる別の予言にも恐れて生きることになります。冷静に状況を見れば、魔女の予言が当たったのではなく、マクベスが予言を実現するために自らがそこに向かって行動しただけなのですが、これは結局人間の歪んだ欲望が生む悲劇を描いてます。そんな本作には、“幸福なのに不幸”など、反対語が共存する、一見矛盾したセリフがいくつか出てくるのですが、その言葉が何を意味しているのかを辿るのが本作の醍醐味です。シェイクスピアによる言葉の技はクライマックスにも活きていますが、「女から生まれた者はマクベスを殺せない」という言葉に隠されたトリックをぜひ解いてみてください。 |
デートで観るには渋い映画ですが、文学作品が好きなカップルや、演劇が好きなカップルはぜひ楽しんでください。殺人のシーンは血がたくさん出るので、そういうのが苦手な人には不向きですが、エロ要素はほぼないので、気まずくなることは無いでしょう。ただ、女子の尻に敷かれている男子は、妻にけしかけれて手を汚していくマクベスの姿を観て、自分の事のようにゾッとする可能性はあるので、映画と割り切って楽しめるかどうかはお約束できません(笑)。 |
セリフがとても哲学的で、一見矛盾しているような言葉が出てきたり、キッズにはちょっと難しいと思います。学校の勉強でシェイクスピアの作品についていつ頃どの程度出てくるのか記憶が定かではないですが、多少歴史でかじり始めてから観た方が馴染みやすい気がします。さらに大学で英文学を習っている人は、シェイクスピア時代の言葉を使ったセリフにも注目してみてください。マリオン・コティヤールはフランス人ですが、専門家の指導のもと一生懸命、シェイクスピア時代の言葉を習得したそうですよ。 |
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2016.5.2 TEXT by Myson