「家族って何だろう?」というテーマが、今回も違った描写で問われていて、是枝裕和監督の人間観察眼のスゴさを感じました。虐待を受けているであろう子どもを無断で“預かる”という行為を善意で行っていると思われる家族について、万引きという行動を引き合いに考えさせる手法は見事。単純に善と悪を描いているのではなく、自分を守るために良くも悪くも都合の良いルール、解釈をもとに生きている人達の価値観を絶妙に表現しています。常識的に考えると間違っていても、何が幸せかという概念は人により違っていて、世の中の流れからあぶれてしまった時に、たとえいびつでもこういう家族が彼等には居場所になっているというのが伝わってきます。是枝作品というだけあって、今回も子役も素晴らしいですし、リリー・フランキー、安藤サクラ、松岡茉優、樹木希林などの俳優陣の演技も見どころ。第71回カンヌ国際映画祭コンペティション部門で最高賞にあたるパルムドールを受賞したのも頷けます。 |
人生観、家族観がテーマになっているので、真剣交際をしているカップルはぜひ一緒に観て、自分達の価値観についても話し合う機会にして欲しいと思います。子どもにまで手伝わせて、当たり前のように万引きをする大人の様子を観ていると、気分が悪いと感じる人もいるかも知れません。あくまで映画ではありますが、頭が堅すぎて、その奥にあるテーマまで考えが行き届かないムードの人は誘わないほうが良いかも知れません。 |
当然ながら、まず「万引きは絶対にダメ!悪いことだ」ということを理解した上で観て欲しいです。ここで描かれている万引きという行為は、主人公家族が持つ人生観を描くためのものなので、カッコ良いとか、やってみたいなんて思わないでください。家族の在り方、家族の絆について考えさせられるので、親子で観ると有意義ですね。 |