本作は、NHK連続テレビ小説『あまちゃん』の井上剛監督の作品で、東日本大震災の被災者で阪神淡路大震災から20年経った神戸で避難生活を送る女子高生の物語となっています。今までにも震災をテーマにした作品はありましたが、2つの震災を扱っている点には新鮮さを感じ、実際に主人公のように2つの震災の間で苦しい思いをしている方もいるんだろうなと思いました。ただ一つだけ不思議だったのは、先生が主人公の女子高生に好意を寄せていたことで、「この難しいテーマにも関わらず、なんて破廉恥な先生なんだろう(苦笑)」と思ってしまいました。
本作はフィクションですが、神戸から福島へと旅をする主人公を追ったドキュメンタリー形式の作りになっているのも特徴で、その分一人一人の役者の演技の力量が際立って見えました。主人公を演じたのはE-girlsの石井杏奈で、先日彼女にインタビューをさせて頂いたのですが、そのときには「私自身が実際に震災を経験していないので、福島の方々の気持ちを100%理解して演じることはできないことが難しかったです」と話していましたが、実際に映画を観るとそんなジレンマを感じさせないくらい見事な演技をしていました。
震災以外にも本作には歌というテーマがあります。一番印象に残っているのはお祭りのシーンですが、ほかにも阪神淡路大震災の復興のために作られた歌なども登場します。ぜひ本作をご覧頂き、今までとは違う視点から震災や原発について考えてみてください。 |
震災というデリケートなテーマを扱っていますが、主人公が女子高生で、歌が登場する点から、デートの空気を重たくせずに観られると思います。とはいえ、やはり震災というテーマを扱っている以上、観終わった後の相手の反応は気になりますよね。普段はこういうタイプの作品をデートで観なかったとしても、敢えて観て、震災についてどんな考えを持っているのか話し合っても良いと思います。もしかしたら普段の彼とは違う真面目な一面が見られるかも知れませんよ。 |
キッズにもティーンにもぜひ観て欲しい作品です。特に主人公と同世代のティーンは、自分に置き換えながら震災について考えてみましょう。また皆さんは、東日本大震災についてはよく知っているかも知れませんが、阪神淡路大震災についてはあまり知らない方がほとんどだと思うので、これを機に両方の震災について調べてみるのも良いと思います。劇中には歌のシーンもありますが、ただ楽しいだけではなく、よ〜く歌詞を聴いてみると、震災関連のビックリするような内容だったりするので、ぜひ細かいところまで気にしながら観てください。 |