2015年11月14日より全国公開/PG-12
KIRIYA PICTURES、ギャガ
公式サイト
紀里谷監督の前2作のイメージを持って観てしまうと、共通点は多数あるものの、ビジュアル的なイメージはだいぶ異なるため、何に期待して観るかによって感想が分かれると思います。日本では、監督が手掛けた前2作、『CASSHERN』『GOEMON』の評判は賛否両論で、特に批評家先生たちのあいだでは不評だったと噂されていますが、個人的には『CASSHERN』『GOEMON』の世界観が好きだったので、そういう意味ではちょっと物足りなさを感じました。でも、ハリウッド映画の1つとして観たときに、そのなかに並んでも違和感がないレベルの映画になっていることには、とても感動しました。ストーリー自体は、日本の忠臣蔵を彷彿とさせるもので、日本人にはお馴染みの展開なので、ハラハラドキドキという楽しみ方はしませんでしたが、自分の命をかけてまでボスに仕える忠誠心という概念を万国共通のものとして表現する際に、クライヴ・オーウェン、モーガン・フリーマンほか脇役を含めキャスティングの上手さと、彼らの演技力、そして演出、全てがバランス良く活かされていると感じました。紀里谷監督の作品は、ビジュアルの斬新さだけで勝負してるんじゃないぞという証明になったのではないでしょうか。ぜひ皆さんも劇場で確認してください! |
どちらかというと、男性好みの作品ではありますが、クライヴ・オーウェンが演じる主人公の奥さんの目線で観たりすると、女性でも楽しめる部分はあります。敢えてデート向きというわけでもないですが、デートで観てもオーケーでしょう。紀里谷監督の前2作のイメージがインパクトが強かったので、先入観で好き嫌いがあるとしたら、今回はそのイメージを払拭する作品なので、何が違うのか観たいという好奇心が2人ともあるなら、一緒に観に行くのも良いのではないでしょうか。 |
キッズにはちょっと難しいかも知れませんが、中学生以上なら充分理解できるでしょう。紀里や監督自身が語っていますが、本作は日本の忠臣蔵がベースとなっています。それを洋画として作ったという点も興味深いところなので、この映画を観た後でも観る前にでも、忠臣蔵について調べてみてください。全く同じストーリーというわけではないですが、1つのストーリーをいろいろな視点で観たり、表現したりすることのおもしろさを少しわかると、今後いろいろな文化に触れる際にも楽しむ力がアップしますよ。 |
関連記事:
■東京国際映画祭パノラマ部門正式上映舞台挨拶、伊原剛志、紀里谷和明監督
■TJE Selection イイ男セレクション/クライヴ・オーウェン
■TJE Selection イイ男セレクション/モーガン・フリーマン
©2015 Luka Productions
2015.11.9 TEXT by Myson